データを倒し、上へ!
校内ランキング戦2日目。今日はリョーマと貞治の試合がある。
「今度の相手はデータテニスか。今までやったことないタイプだろうな」
「はやったことあるかい?データテニス相手に」
「ある。あれはイヤだったなぁ・・・」
できればもうデータテニス相手はしたくない。
「そうだ、いいことを教えてあげよう」
「ん?」
いいこと?なんだろう。
「俺の勝率は、95%だよ」
乾貞治、食えない男だ。
リョーマと貞治の試合が始まる。ネットを挟んで立っていると、まるで大人と子どものようだ。その身長差、なんと33cm。
貞治はリョーマが打ってくるコースをデータで予測している。
「君は俺よりテニスのセンスもある。ハッキリ言って強い!・・・けれど・・・どんなにいいショットでも、
返ってくる場所さえわかれば・・・打ち返せない球はないよ」
これがデータテニスの怖い所。返す球が高確率で予測されたんじゃ、厳しい。
「
青春学園 に入って良かったよ」
リョーマが笑っている。まるで、面白いものを見つけた時の様に。
「色んなテニスを倒せるからね」
騒然となる。
なんとも頼もしい台詞だ。リョーマが言うと、戯言に聞こえない。リョーマは勝つ気だ。この、不利な状況で。
「最近やっと出来る様になったステップがあるんだけど・・・できれば温存しておきたかったね。全国大会まで」
リョーマ、あんたは。
リョーマは両足で軽く跳んでいる。これは、スプリットステップ。確かにこれなら反応に対して身体が動きやすい。
でも、スプリットステップなら前からできたはず。
ラリー中のリョーマは、打つ方向を口に出している。それができるのは、リョーマの動きが格段に早くなったから。
そのはやさに、貞治はテンポを崩して追いつけない。ただのスプリットステップでは、これほどに動きに差は出ない。
これは、リョーマのスプリットステップは、ただのスプリットステップではなかった。
「片足のスプリットステップなんて・・・中学生だと、赤也意外に見た事ないな・・・」
父さんは、出来ると思うけど。こんなこと、天性の嗅覚がないとできない。私もさすがに片足でやるのは難しい。
これでリョーマが一気に有利になったかと思ったが、貞治はまだ諦めてはいなかった。
「やれやれ。・・・ねぇ、乾先輩」
リョーマが右手にラケットを持ち替え、ボールを弾ませる。
「来る場所がわかってても取れない球・・・もう一つあるよ」
リョーマのサーブは地で回転をし、貞治の顔に向かって跳ね上がった。
「右手じゃあ威力は落ちるけど、そのメガネに向かって飛んでって欲しーからね!!」
「・・・やれやれ」
確かに体に向かってくる球が一番難しいけどね。
「データで来るなら、その上を行くまで、だね」
ゲームセット。7−5で、リョーマの勝利に終わった。
リョーマはランキング戦を全勝で終わらせ、レギュラー入り確定した。気になるところは、貞治と薫の試合。
なんと、貞治相手に3戦3敗だった薫が勝ち、レギュラー残留となった。
レギュラー8人が決定した。
3年部長、手塚国光。3年副部長、大石秀一郎。3年、不二周助。3年、河村隆。彼は新メンバーだ。密かに力をつけていたらしい。
続いて3年、菊丸英二。2年、桃城武。2年、海堂薫。そして、1年、越前リョーマ。
都大会はこの8人で勝ち進む。全国への一歩だ。今年の青学は、本気で全国を目指せるチームだ!
部活後。片づけを終えた所で、秀一郎に話しかけられた。
「ちゃん、これにサイズ記入してくれるかい?」
「ジャージのサイズ?リョーマの?」
「いや、君の」
「?」
私の?
「いや、なんで私の?レギュラージャージでしょ?」
「みんなで話し合って、越前の徒一緒にちゃんのジャージも作ろうって事になったんだ。手塚や竜崎先生も承認済みだよ」
お二人さーん?何で止めなかったの。
「きけば、氷帝でもレギュラーと同じジャージを着ていたそうじゃないか」
「・・・データの出所は貞治ですか」
余計な事を。
あれはいつの間にかあいつらが勝手に作ってたんだ。それこそ、サイズなんて聞かずに。ぴったりだったけど。
「越前のも教えてくれると手間が省けるけど」
「じゃあ、私がMでリョーマがSね。あ、男子サイズで」
「了解」
紙にサイズを書いて秀一郎に手渡す。
「大会、頑張ろうね!」
「あぁ!」
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