王子様の初日
始業式の翌日の今日は入学式。朝練には・・・なんとか間に合った。
それにしてもリョーマ、ちゃんと入学式に出ただろうか。どこかで寝過ごしてなければいいけど。
時間は過ぎて放課後。3年と、2年のレギュラーは遠征という事で、今日は自主練だ。1年の仮入部も明日から。
居残り組の私は、おそらくストッパー役。こういう時はハメを外す奴もいるだろうから。
テニスコートに行くと、誰かが打ち合っていた。2年同士がやっているのだろうと思ったけど、違った。
1人は、レギュラーだけど今日は居残り組の桃城武、2年。もう一人は。
「リョーマ・・・」
呆れというかなんというか、そんな感情が巡る。吹っかけたのは桃城だろうけど、受けるリョーマもリョーマだ。
ツイストサーブを遠慮なく打つリョーマはさすがというべきか・・・。しかし桃城もあの足≠ナ合わせてきて、よくやる。けど、そろそろ危ないか。
私はラケット片手にコートに入って、リョーマのリターンをリョーマ側のコートへ打ち返した。
「・・・・・・邪魔しないでよ」
皆が唖然とする中で、リョーマが不服そうに言う。
「文句なら後で聞いてあげる。でもこれ以上はやらせないよ。
左に持ち直してやったら、どうなるか・・・桃城が一番わかってるよね?こっちは文句は言わせないよ」
リョーマと桃城にそれぞれ言う。
「・・・はい」
「よーし、じゃあ解散。リョーマは早くお帰り」
「・・・ちぇっ」
リョーマがふてくされつつ片づけて帰っていく。ごめんねー。
未だコートに立っていた桃城をベンチに座らせ、靴を脱がす。
「血気盛んなのはいいけど、ベストな時にやりなさいよ、桃城クン」
テーピングをしてある右足に氷をあててやる。
「ははっ。でもやっぱどんなやつか気になっちまいまして」
「ウワサのルーキーだもんねぇ。我が弟ながらあっぱれってか」
「弟?」
「え、気付いてなかったの?苗字一緒だし、名前で呼び合ってるのに」
逆に驚いてしまった。桃城は、そういえばそうっスねー、なんて言っている。
「まったく・・・悪化させたらリョーマにレギュラーとられちゃうよ?」
「けど、アイツ気づいてましたよ。ハナっから」
「気づいてても容赦しないのが越前リョーマ」
「・・・なるほど」
右でやってたのは、ただ単にツイストサーブを顔に向かって跳ねさせたかったからだろう。
「あ、そうだ」
「ん?」
「俺のこと、『桃』でいいですよ、先輩」
「じゃあそうさせてもらうわ。とりあえず、今日はもうおとなしくしときなさいね?」
「了解です」
言うと桃は、足を使わない、筋トレをしに行った。
さて、中学初日はどうだったかな?リョーマ。
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