彼の兄に出会いました
無事(?)兼任業につき、最初のお仕事は明日の遠征の準備。私は居残り組らしいけど。
「救急箱はこんなもんねー」
「さすがに慣れてるね、」
「うわっと!?」
突然後ろから声を掛けられ、振り向くとそこには不二周助。
「そんなに驚いた?」
「気配しなかったよ・・・?」
人の気配には割と敏感なはずなんデスケド。
言いたい事がなんとなく伝わったのか、不二はクス、と小さく笑った。
「のことは裕太からきいて興味湧いてたから、会えて嬉しいよ」
「あー・・・裕太、なんて言ってたの?」
「『強くて、でも変で、面白くて、すごい人』」
「なにそれ・・・」
裕太の私に対する認識って一体…。
「僕は、に感謝してるんだ」
「感謝?」
「裕太の可能性≠フ道を示してくれてありがとう」
「私はただ、一つの可能性≠フ選択肢を増やしただけだよ」
そう、選んだのは裕太自身だ。
「裕太、元気?」
「うーん・・・帰ってこないからなぁ・・・」
「あら・・・」
裕太が転校した聖ルドルフは寮だ。兄弟の仲がギクシャクしているのに帰りたくないのかもしれない。兄が気にしていなくても、なにより弟が。
「下の子って大変よねー」
「にもいるの?」
「それはもう生意気な弟が」
「生意気なんだ?」
「それでも可愛いんだけどね。弟ってそんなもんでしょ?」
「・・・うん、そうだね」
だからいつか、二人も笑いあえる日が来るよ。だって、兄弟なんだもん。
準備が終わって周助と部室の外に出ると、副部長の大石秀一郎が待っていた。
「鍵閉めるけど、いいかい?」
「うん、ごめん待たせて」
言うと彼は笑った。なんて爽やかなんだ。氷帝の奴らに見習わせたい。
「ところでえち「Please say once again?」(もう一度言って?)
「・・・・・・ちゃん」
・・・なんかかわいいとか思ってゴメン。慣れていないんだろうな。
「なに?」
「えーっと、俺たち明日遠征で学校には来ないから、部室の鍵をお願いしたいんだ」
「OK.何時に来ればいいの?」
「朝練は6時50分からだよ」
・・・早ッ!
「早いねー」
「氷帝は何時からだったんだい?」
「7時30分」
「まぁ、授業開始の時間にもよるしね」
確かに。氷帝は9時で、青学は8時40分だ。
「ま、それじゃあ承りました」
「よろしくね」
私も朝強いわけじゃないけど、やってみますか。今日は早く寝よう・・・。
Created by DreamEditor