ナンバーワンシード
グラウンドを走り終わって一息ついていたら、買い出しに行った池田が1人で戻って来た。桃と一緒に行ったはずだけど。
「どしたの?桃は?」
「それが・・・ひったくりを追いかけて・・・」
「はぁ?」
正義感強そうだからなぁ。
「わかった。探して様子見に行ってくる。部長にはそれとなく言っといて」
「は、はい」
果たしてどこにいるのやら。
適当に歩いていると、ストリートテニス場に辿り着いた。階段上から聞き覚えのある声がきこえてきて登り始める。
「青学2年、桃城武。ヨロシク!」
「やっぱり桃!なんでこんなとこ、ろ、に・・・」
そして視界に入ったヤツに口元を歪ませる。
「じゃねぇか。久し「さー桃帰るよー!!こんなとこで油売ってたら部長様に罰走させられちゃうからねー!!」
「無視すんじゃねぇよ!!」
あんたは近づいてくるなよ!
「勝手に転校決めて青学に行きやがって・・・!!」
「転校の理由は話したでしょ。しつこいよ、景吾」
こっちを睨みながらドシドシ向かってくる景吾に一瞥くれる。
跡部景吾。氷帝学園三年、男子テニス部で一年から部長をしている、全国区の実力者。1、2年時のクラスメイトでチームメイトでもある。
「桃、帰るよ」
「え、は、はい」
「!!」
腕を掴まれる。でもね、止まらないよ。
「今度は都大会で会いましょ。No.1シードの氷帝学園さん」
「・・・・・ッ!!」
今は、敵同士なんだから。
「あぁ、そうだ」
階段を降りようとしたところで、一度立ち止まる。
「夜9時くらいならフリーだから、電話位なら出てあげるよ」
「・・・ハッ!無視すんじゃねぇぞ!」
片手をあげて応えておく。敵同士でも、友達辞めたわけじゃないからね。
景吾には悪い事したかなって気もするけど、あそこで寄って行くと調子に乗るからね・・・。
「先輩、去年まで氷帝にいたんスよね」
「うん、どうだよ。どした?」
「跡部さんって、どんな人なんスか?」
どんな、か。性格なのかプレイなのか。
「とりあえず、プライドが高くて俺様で偉そうで・・・」
「え?」
「自称キングな馬鹿帝王で金銭感覚の次元が違う超お金持ちで・・・」
「・・・先輩?」
「200人の頂点に立つにふさわしいカリスマ性のやる男」
「・・・・・」
「強いよ、景吾は。私もハンデなしでは勝ったことが無い。国光と同じ、全国区クラスの実力者」
「・・・そうっスか。よぉーし燃えてきた!!」
「走るよ!」
「ウイッス!!」
そして帰ってから、またグラウンドを走らされるのだった。
―――――
ごめん樺地。
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