橘桔平






















そう遠くは行っていないはず、とキョロキョロしていると、目当ての黒い集団を見つけた。


「はぁーい、橘くん。ちょっとお話ししない?」

「きみは、青学の・・・」

「青学3年マネージャー、越前です。越前リョーマの姉やってます。よろしく」

「そうか・・・深司が、すまなかったな」

「いいのいいの、わざとじゃないんだから。本当はぶん殴ってやりたいけど

「・・・・・」


あれ、笑顔は逆効果だったかな。


「・・・それで、話とは?」

「あーっと、その前に」


橘くんから、白いバンダナ頭に目を移す。


「鉄くん、腕、大丈夫?」

「えっ!?は、はい。・・・なぜ?」

「『鉄はまだまだ筋力が無いから、波動球はろくに打てへんやろうなぁ』って銀さんが言ってたから」

「兄貴を、知ってるんですか!?」

「まぁね。で、橘くんに戻るわけだけど」


目で合図すると、橘くんはわかってくれたようだ。


「・・・お前達、先に行ってろ」

「・・・はい」


心配そうな目を向けつつ、2年生たちは歩いていった。愛されてるなぁ。



















橘くんと二人きりになり、ようやく本題にうつる。


「橘くんってさ、獅子楽中、九州二翼の橘桔平でしょ?」

「!・・・よく、知っているな。だが、それがどうした?」

「やっぱりそうか!どこかで見た事あると思ったんだよねー。全国で見たんだ」

「青学はこの2年、全国には・・・」

「私、元氷帝生」

「・・・なるほどな」


あっさり言うと、彼は納得してくれた。


「あとは、あるやつから橘くんのことを少し聞いててね」

「あるやつ?」

「二翼のもう片翼、千歳千里」

「!・・・千歳を、知っているのか?」


さすがにちーちゃんこと千歳の名前を出すと驚いたようだ。


「うん。付き合いはまだ短いけどね。今は大阪の四天宝寺中でやってるよ」

「・・・そうか」

「良かったね、お互いテニスに復帰できて」

「きみは・・・」

!」


背後から厳格な声が聞こえて思わず身が縮こまる。


「く、国光・・・」

「すまない橘、迷惑をかけた」

「いや・・・」

「ちょっとー、私猫じゃないんだけどー!?」


首根っこを掴まれて引きずられていく。め、めげない・・・!


「またお話ししよーね!きっぺー!」


大声で言うと、国光に「うるさい!」と怒られました。














「越前か・・・おかしなやつだ」














「ところで国光、みんなと先に行ったんじゃなかったの?」

「お前一人で河村の家まで行けるのか?」

「・・・行けません」





















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