ラストダッシュ





















リョーマが再びコートに立つ。全く気負いしていない。球威も落ちていない。リョーマは、スポットに気づいたようだ。
しかし伊武は容赦なくスポットを続け、さらにリョーマの左、死角を突いてくる。
卑怯とは、言わない。それも戦術であることに、違いはないから。しかしやはり厳しいものがあるのか、着々と伊武がゲームカウントを積んでくる。
それでもリョーマは退く事を知らない。


「スプリットステップ・・・」

「やーな技だよね、その上下のショット!・・・でも、弱点二つ見ーっけ!」


挑発も忘れない。


「二刀流相手に試したことある?」


右から左へ、左から右へ。確かに、持ち手をころころ変えてしまえば“交互のショット”は意味を成さなくなる。
片足のスプリットステップができて、テニス両利きなリョーマだからこそ可能な事だ。そして、もう一つの弱点。


「トップスピンを打たせてもらえないと、スポットは成り立たないよね」


スライスばかり打たせることによって、スポットを発動させない。


ラストワン。


「よし、越前。青学の優勝は・・・お前の手で決めろーっ!!」


伊武も食らいついてくる。リョーマのスマッシュコースを読んで入り込んだ。


「でも・・・まだまだだね」


ツイスト回転の球が跳ね、伊武の顔面前で、彼の手の中におさまった。


「ゲームセット!!ウォンバイン青学越前!!」


10分、ギリギリ間に合った。この子は・・・!!


青学は、地区予選を優勝し、都大会へコマを進めた。準優勝の不動峰も都大会へ進む。


「〜〜〜リョーマッ!!」

「うわっ!?」


整列が終わるのを我慢して待って、リョーマに抱きつく。


「リョーマ、大丈夫!?ホントに大丈夫!?Really all right!?」

「大丈夫だって・・・!」

「あー・・・もう、心配したんだからね・・・・・リョーマに心配かけちゃうくらい」

「・・・ん。ごめん」


ぽんぽんと頭を撫でられる。これではどちらが上なんだかと思いつつも、笑みは消えない。


「ほら、いい加減リョーマから離れな。病院に連れてくから」

「スミレちゃん。リョーマのこと、お願いします」

「あぁ」


リョーマたちの背を身をくり、国光たちの所へ行く。



















「あ、!今からタカさんち行くんだって!早く行こ!」

「あー・・・先に行ってて!」

「どうかしたの?」

「ちょっと野暮用」


みんなに一言告げ、私は青学の元を離れた。





















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