Bloody terror
ドクン、ドクン、と動悸がおさまらない。リョーマが、左目を押さえて、指の隙間から、赤い、血が、流れてて。駄目だ、これ以上は、考えられない。
越前の傷、眼球には異常はなさそうだが、出血が止まらない。プレイ続行は厳しそうだ。
「よう、越前。壊れたラケット、バッグに入れとくぜ」
桃城が壊れた越前のラケットをおさめに行く。
「・・・桃先輩。ついでにかわりのラケット出しておいて下さい」
越前、意地でも退かないつもりか。
竜崎先生が越前の傷の手当てをするために救急箱を手にする。
「・・・部長」
「なんだ」
血を拭きながら越前が俺を呼ぶ。
「、なだめといてください」
「・・・なだめる?」
そういえば、弟が怪我をしたというのに、フェンスの向こうにいる。あいつなら真っ先にくると思ったが。
「今にもフェンス乗り越えてあの伊武って人に掴みかかって行きそうなんで」
「・・・本当に、やるのか?」
「やりますよ。は、下手したら半殺しにしかねないっス」
「・・・わかった」
半殺し、とは穏やかではないが、後ろで握り拳を作って固まっているに近づいた。
「・・・落ち着け、」
「落ち着け・・・?今、必死にこらえてるトコだよ・・・あれはわざとじゃないって、自分に言い聞かせてね・・・」
越前の言った事は、あながち戯言でもないかもしれない。の声は震え、瞳孔が開いている。精神的に危険な状態だ。
・・・こういう時、どうしたらいいのか、俺にはよくわからないが・・・。
ぽん、ぽん。
「・・・越前なら、大丈夫だ。今竜崎先生が治療して止めてくださっている」
「・・・・・」
「越前はまだやる気だ。だから、落ち着いて見ていてやれ、」
「・・・・・」
頭を撫でて言い聞かせてやると、少しは落ち着いたのか、目の色が戻って来た。
怪我の治療も終わったようだ。の顔色を見つつ、越前の所へ戻った。
国光が止めてくれなかったら、ヤバかった。リョーマが言ってくれたのかな。怪我した奴に心配されるなんて、情けないな・・・。
見れば、秀一郎がリョーマを止めている。しかし、それを国光が止めた。
「10分だ!10分で決着がつかなければ棄権させるぞ。いいな」
「充分!」
ありがとう、国光。
「!」
ふと、リョーマに呼ばれて顔を上げる。
「I'm all right.I win by all means.」(俺は大丈夫。必ず勝ってみせるよ)
「・・・うん!」
頼んだよ、リョーマ!
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タイトル直訳「血の恐怖」
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