リョーマのテニス
S2。これに勝てば、青学優勝の決定だ。そして、リョーマのシングルスデビュー。
「リョーマ」
「ん?」
「暴れて、優勝決めてきなさい!」
「OK」
S2 青学 越前 対 不動峰 伊武 試合開始
サーブはリョーマから。ラケットを持つ手は、右。いきなりのツイストサーブは見事に決まった。40−0までは軽快。しかし、伊武も只者ではなかった。
「返した!」
伊武は、ツイストサーブの返し方を知っていた。打てる、とか?
しかしリターンをリョーマに決められ、あっさり1−0。会場中がざわめいた。すごい1年だ、何者だ、と。
続いて伊武のサーブ。
「!」
伊武のサーブは、地に当たって、リョーマの顔めがけて飛び跳ね上がった。ツイストサーブ・・・いや、キックサーブ、らしい。
確かに、ツイストサーブは昔の呼び方だしね。そして伊武は、リョーマが利き手の逆でやっている事に気づいた。よく見抜いたな・・・。
しかし、リョーマにキックサーブは通用しない。伊武のサーブを楽に返し、ラリーが続く。
「悪いけど、全国まで負ける気ないんで。全国でも負けないけど!」
頼もしい王子様だ。
「後はこれが、父さんのコピーじゃなくなればねぇ・・・」
「コピー?」
しまった。呟いた独り言が国光に聞こえてしまった。
「あー・・・私、何か言った?」
「父親のコピーとはどういうことだ、」
「うー・・・」
どうにもごまかせそうにない。他のみんなはリョーマの試合に集中していてきこえていないようだ。
スミレちゃんはこっちをちらりと見たけど、助けてくれる気はなさそうだ。
「・・・リョーマのテニスは、父さんの・・・『越前南次郎』のコピーなの」
「越前南次郎・・・『サムライ』と呼ばれた、元プロテニスプレイヤーか」
やはり名前は知っていたか。引退したのはまだ小さい時だから、父さんのテニス自体は知らないだろうけど。
「リョーマはずっと父さんのテニスを手本にテニスしてきた。毎日毎日、飽きもせずめげもせず。
最も近くて、強いテニスが父さん。だから、リョーマのテニスは父さんそっくりになっちゃったの」
「お前は違うのか?」
不意を突かれて詰まる。でも、そう思うのも当然か。
「私はあの子程みっちりやってないからね。似たトコはあるだろうけど、違うモノだよ」
「・・・そうか」
国光がリョーマに視線を戻した。
「『越前南次郎のコピー』を越えた先に、何があるんだろうか」
独り言のようなその問いに、私は答える事が出来なかった。
リョーマが攻めて攻めて攻めまくり、ゲームカウントは4−0。しかしこの後、リョーマの動きがなんだかおかしくなった。
伊武はただ、上下の回転を交互に打っているだけ。しかし、リョーマの動きが一瞬、鈍くなった。トップスピンとスライスの交互・・・まさか!
「リョーマ、駄目!!」
気づいて叫んだ時には遅かった。
リョーマはマヒした腕のかわりに身体を回転させて強引に打ちにいった。だけど握力も弱っていたらしく、ラケットが手からすっぽ抜け、
「・・・ッ!!」
ポールに当たって砕けたラケットにより、リョーマの顔は鮮血に濡れた。
「―――ッリョーマ!!!」
――――
ちょっとアニメの話題を。
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