ダブルス。・・・ダブルス?
地区予選当日。私はリョーマより先に家を出た。リョーマと一緒に行かないの?ってきかれたけど、リョーマは桃が迎えに来るらしい。
リョーマ・・・ホントに姉離れしちゃうのね・・・って、本当は和食が食べたかったからなんだけど。
母さんは洋食ばっかだから、自分で作らないとなかなか食べられないんだよね。
今日の場所は志季の森運動公園。青学はシードだから少し遅くていいけど、他の所は試合をしている。青学の緒戦の相手は玉林中に決まった。
「」
「あ、おはよう、リョーマ」
「はよ」
「おはようございます、先輩」
「おはよう桃。リョーマのお迎えありがとう」
「いえいえ」
到着したリョーマと桃、他のメンバーもすぐ揃った。そして国光を先頭に、8人は受付へエントリーに。オーダーには、みんなさすがに驚いていた。
今日は青学が緒戦の試合の為、決着がついても全試合行う。D2をまずとって勢いに乗れればいいけど、こればかりは自信を持って大丈夫と言えない。悪いけど。
ベンチ後ろで2人を見守る。心配で仕方がない。
「相手の土俵でたたきのめした方がユカイだからね!」
リョーマの声が聞こえて納得した。大方、一昨日あのペアにダブルスでこてんぱんにされたのだろう。リョーマも桃も負けず嫌いだからな。
それにしてもあのペアは、ダブルス専門ストリートコートの最強ペアじゃない。一回だけ会ったことがあるな。確か、布川と泉。
「やれやれ、大丈夫かな」
まぁ、がんばってくださいな。
試合、Start.
阿吽戦法。そうきこえたけど、なんだろう。
「、あの二人何か秘策でもあるのかい?」
「さぁ・・・?昨日はなんか、二人で練習してたみたいだけど」
練習内容とかは、何も教えてくれなかった。
泉はさっそく、ダブルスの重要点、真ん中へ返した。ダブルスの真ん中は、息が合わないと取れない。どうか、お見合いしませんようにっ。
すると二人は、信じられない方法に出た。
「『阿』ー――っ!!」
「『吽』ー――!!」
「!?」
阿吽て・・・阿吽戦法ってそう言う事!?
「変なのぉ」
なんか・・・格好悪い。それに、この戦法はおそらく真ん中≠ノしか使えない。そして案の定、布川が縦に並んだ二人の、片コートへ打ち込んだ。
「・・・やりおった」
「真ん中以外は意思の疎通0だな」
スミレちゃんが呆れ、国光からは厳しいお言葉が。周助なんて笑っている。
さらに玉林ペアにダブルポーチで揺さぶられる。
チェンジコートの時にスミレちゃんが奮い立たせの言葉を送るが、意味があったのかどうか・・・。
「人選間違えたかの、手塚よ」
「はい」
「国光素直ね・・・」
否定はしないけど。
その後リョーマと桃は、自滅を繰り返した。
「あーあー・・・」
ゲームカウント0−2で玉林リード。すると、2人が行動に出た。
「おぉ?」
2人がコートの前後から、真ん中に線を引いていく。
「これってつまり・・・コートを縦半分に割って、シングルスにしたって事・・・?」
「そうなるね」
「フツーやるー?急造コンビでもこんなの初めて見たよ」
すごい事考えるなぁ。ある意味感心するよ。シングルス≠やることにした2人には、ダブルポーチも通用しない。
ダブルス対シングルス。こんな発想、見た事ない。得意のシングルスをし始めた二人は、形勢逆転した。
シングルスで、それぞれのテニス≠して。
「ねぇ・・・けっこう楽しいね。ダブルス!」
「・・・ダブルス!?ダブルスじゃねぇだろ、それ!」
今回は布川に同意。ダブルスじゃないよそれ、リョーマ。
そして焦った布川が、真ん中のライン上へ。
「阿ー――っ!!」
「吽ー――っ!!」
阿吽戦法によりリターンが決まった。そして、ゲームセット。
「やっぱ男は」
「ダブルスでしょう!!」
「だからそれダブルスじゃないって・・・」
「真ん中だけダブルスだったね」
周助の言葉に溜息をつく。はらはらさせて、まったく。
そして。
2人はスミレちゃんからいたーいお仕置きを貰い、正座させられるのだった。
その後のゲームは全て6−0で圧勝。5勝0敗で、青学2回戦突破だ。リョーマと桃は、それぞれ次と、その次の試合謹慎。
そして水ノ淵中との試合も3戦先勝し、青学は決勝へとコマと進めた。例年の柿ノ木中とは違う、不動峰中を決勝の相手にして。
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あうん、の字が違うけど、メモ帳がうんの字対応してないみたいなのです
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