神奈川の乱入者
日曜日。大体は休み、というか自主練だけど、試合前だから今日は練習日。
「、越前はどうした」
「起こしても起きなかったから置いてきた」
「・・・・・」
リョーマを待って遅刻するのは嫌だし。そう言うと、ため息をつかれた。仕方ないから電話して母さんにたたき起こしてもらおうか。
電話して戻って来ると、何やら騒がしくなっていた。その騒ぎの中心にいるのは、ここにはいるはすのないやつで。
「赤也?何でここにいんの?」
「さん!」
切原赤也。神奈川県立海大付属中2年。立海の、現レギュラー唯一の2年生。
「さんからも言ってくださいよ〜。手塚さんってば、ちょっと手合わせしようって言ってんのにきいてくんないんっスからr」
「あんたねぇ・・・」
ていうか何でここにいるのか返事は?
「そんなの、受ける訳ないでしょ?ていうか、あの三人の一人にでも勝ってから言いなさいよ」
「うっわ!痛いトコつかないでくださいよ!」
「勝ち進めばいずれ関東で当たるでしょ」
「その前の手合わせっスよ!」
ああ言えばこう言う・・・。頑固というかわがままというか自分勝手というか・・・。
「・・・で?なんで東京(ここ)に?」
「ずばり、スパイしに!」
「あんた・・・私と同類でしょ」
「失礼な!違いますよ!さんみたいに迷子じゃないっスよ!」
「ちょ、赤也声大きい!」
ほら!背後で「迷子・・・」って呟く声が聞こえたじゃない!
「正直に言わないなら、弦一郎に電話するしかないね・・・」
ほーらちょうどここにさっきリョーマを起こすために使った携帯が・・・。
「ちょっ、たんま!勘弁してくださいよ!あの人の鉄拳マジ痛いんスから!」
「うん、あれは痛そう。で?」
「・・・柿ノ木中に練習試合に行くのに、寝過ごして終点まで来ちゃったんスよ」
お馬鹿だ・・・。
「なら、さっさと行きなさいよ」
「えー。でもまだ手塚さんと手合わせしてないし」
「さーて弦一郎の番号はっと・・・」
「あーあー!わかりましたよ!行きますよ!」
赤也は観念したようだ。弦一郎効果すごいな。
「おっと、ボールかえさねぇと」
「ん?」
そういえば赤也が持ってるの、ウチのボールだ。
「おーい荒井くん、ボール返すぜ!」
赤也は後ろ向きのまま、後ろの荒井にボールを打つ。格好つけたつもりなんだろうけど・・・大失敗だった。
そのボールは桃の顔面に当たり、それによって桃の手からラケットがすっとび、ラケットがカチローの頭に直撃し、
痛みと驚きでカチローが持っていたボールカゴを落としてボールが散乱し、それによってこけた2年たちがボールを投げ合い、
そのひとつが薫の後頭部に当たり・・・。
「うわーっ!!海堂がキレた!!」
もう大惨事である。
「みんなやめろ!!あっ、切原逃げるな!」
「こら赤也!責任取りなさい!!」
だが赤也の逃げ足は速く、もう姿はなくなっていた。
「ぜってー弦一郎にちくる!・・・国光サン?」
黙っていた国光が大きく息を吸った。
「全員グラウンド30周してこい!!」
「・・・・・」
「・・・え?」
あーあ、という感じで走っていくみんなを見ていると、国光からじっと見られているという事に気づいた。
「まさか、私も?」
「当然だ」
「え!?赤也止めたの私なのに!?」
「・・・・・」
「赤也と手合わせしなくて済んだでしょ?」
「・・・・・」
「手塚サン部長サン国光サン!!」
「・・・10周だ」
「・・・はーい」
結局走らされるのか。
悔しいから、自己最高記録を出してやった。
その後、赤也から非難のメールが送られてきたが、『自業自得でしょ』と送り返して黙らせた。
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