跳
今、がっくんがコートで打ち合っている。がっくんは他の子に比べて少し背が低く、身体つきも華奢で細い。
しかし、がっくんには、その身体でリーチを補う技≠ェあった。
「うわーっ、何あれすごーっ!」
がっくんは跳ぶ。とにかく跳ぶ。ぴょんぴょんと。なんとも軽やかなアクロバティックプレイ。
「なんか、兎か猫みたい」
「あー・・・ぴょんぴょん跳ねまくっとるもんなぁ」
率直な感想を言うと、隣にいた侑士こと忍足侑士が同意してくれた。そして、さらに私のハートをくすぐる現象が。
「お前も跳んでみそ?」
「〜〜〜〜〜!!!」
「いてっ、いたっ!ちょ、、そんな叩かんといてぇな!痛いっちゅーねん!」
だって、何あの可愛いの!『みそ』って!『跳んでみそ』って!!
興奮しまくっていた私は、バシバシ叩いていた手を侑士に封じられながらも、顔がにやけていた。
「、顔やばいで?・・・ッて!!」
侑士のすねを蹴って撃沈させ、がっくんのプレイをチェックボードに書き記す。ひととおり終わったがっくんが、肩で息をしながら戻って来た。
「お疲れ、がっくん。すごいね、あのアクロバティックプレイ」
「だろ!俺の背中には羽があるんだぜ!」
羽、と言われて一瞬ピンと来ず思考が止まる。だがすぐに納得した。確かに、がっくんの背中には羽があるのかもしれない。
軽くて、優雅で、自由で、思わず見とれてしまうような。しかしそればかり言うと彼の為にならないので、欠点も言う。
「がっくんは体力つけないとね」
がっくんは自覚しているのか、乾いた笑いをもらしていた。
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