南の島であたたかな出会いをしました





















10月三連休。私、越前は、また突然ふと思い立っちゃって、一人で沖縄に来ていた。
休みをもらう時侑士や監督には言ったけど、景吾にはどこへ行くかは言っていない。言ったらついてきそうだし。














沖縄の観光地で行ってみたいと思ってた首里城。の、モノレール最寄駅首里駅で下車。
軽くきょろってあたりを見渡してみたら、観光客が結構いた。さすがに子ども一人でうろついているのは私くらいしかいなかったけど。
フリー配布していた地図を片手に歩き出す。
と、少し行ったところで同じくらいの年の男子が三人、外国人女性を前にあたふたしているのが目に入った。




















そもそもこんなことになったのは、木手が「たまには地元の観光地に行ってみるのもいいでしょう」なんて言い出すからだ。
せっかくの休みだっていうのに。
さて首里城に向かうか、となったとき、「Excuse me?」と声を掛けられたのだった。
逃げるにもなんとなく良心が邪魔して逃げられず、だが、本場の英語を前に太刀打ちできるやつもこの中にはおらず、
あたふたしているところに、「What's the trouble?」と、声が割って入ったのだった。




















「え」

「あ、えと」

「Oh, I was trying to hear the way these kids astray」(あぁ、道に迷ってしまって、この子たちに道をきこうとしていたんです)

「The more. What is that one go to?」(なるほど。どちらへ行かれるんですか?)

「Shuri Castle」(首里城よ)

「OK.Please wait a minute that」(OK.ちょっと待っててくださいね)


女性から目を外して、ぽかんとしている男子三人に向き直る。
四角の下フレームのみの眼鏡をかけたちょっと特徴的な髪の子と、帽子をかぶった茶髪の子と、金髪のきれいな髪の子。


「えっと、首里城まで行きたいけど道に迷っちゃって、道をきこうとしてたんだって」

「あぁ、そうだったんですか・・・すみません、本場の英語には慣れていないものでしてね」

「いいえー。で、道案内してあげられる?地元の子でしょ?」

「あい。けど、俺らわったー)英語はよくわからないさー」


帽子の彼が肩をすくめた。


「私も首里城に行きたいから、通訳として一緒に行かせてもらうよ。それならOK?」

「あい。助かるんばー」


金髪の彼が軽く笑った。髪も綺麗だけど、笑顔も綺麗だな。


「私、越前。中2」

「木手永四郎です。我々も中2です」

わんは甲斐裕次郎さー」

わんは平古場凛」

「よろしく」


そこで女性に向き直って自己紹介と、彼らの紹介をする。彼女はミリアさんというらしい。




















途中通訳会話しながら、無事首里城に辿り着いた。ミリアさんは何度もお礼を言い、
3人と、私の手にアメリカから持ってきたお菓子を手渡して意気揚々と歩いて行った。
また迷子にならないか心配だけど、彼女なら何とかなりそうな気がする。


「ありがとうございました。助かりましたよ」

「どういたしまして。なんか、ほっとけなかったし。私で役に立てたなら良かった」

「そういや、お前やー)も観光客なんだろ?どこから来たさー?」

「私は東京から。まぁ、東京にはまだトータル2年も住んでないけど」

「ずっとアメリカだったさー?」

「うん。生まれも育ちもアメリカ。中学入る時に日本に来たの」

「今日は?まさか、一人で沖縄まで・・・?」


永四郎(来る途中ですでにみんな名前呼びになった)が眉をひそめながらきく、


「うん、一人で来た。だって、アメリカより治安いいでしょ?」

(そういう基準ですか・・・)

「アメリカより治安よくても危ないさー。宿はもう決まってるんばぁ?」


凛くんがきくのに首を横に振る。


「あーだこーだしてるうちに宿予約する時間無くなっちゃって。まぁ探せばどっかあるかなと」

お前やー、お気楽すぎるさー」

「いいのいいの。なんとかなるだろうし」

「そうはいいますが、三連休の初日ですから、もうどこも一杯だと思いますがね」

「・・・・・え」


永四郎の言葉にピシ、と固まる。


「・・・ま、まぁいいよ。野宿ってのも味があって「「「いいわけねーらん(ない)(ありません)!!」」」


三人同時に言われ、思わずめをぱちくり。そ、そんなに力一杯言わなくても。


「でも、宿ないんじゃ・・・」

「はぁ・・・そこでなぜ、目の前にいる我々を頼ろうとしないのですか、キミは」

「え?」

俺らわったーみんな女兄弟いるし、泊めてやるくらいわけないさー」

「え」

「凛のとこはどうさー?姉貴だし、妹のわんや木手よりは過ごしやすいかもしれないぜ?」

「え、ちょ、え」


どうしてそうなる?


「ちょ、今日初めて会った女子を、家に泊めていいとか言う?」

「別に変な意味ではないのですから、構わないでしょう」

「そうそう。俺らわったーお前やーに助けてもらったんだし」

「困った時はお互い様、って言葉もあるさー」


永四郎、裕次郎、凛くんの言葉にじーんとくる。


「・・・ありがとう。それじゃ、誰の家にお邪魔したらいい?」

「さっきも言ったけど、やっぱ凛のとこがいいだろ。妹より姉貴の方があれこれ世話してくれるだろうし」

「そうですね。平古場くんのところがいいでしょう」

「ならわんは家に電話してくるさー」


あれやこれやと宿が決まり、凛くんが電話をしにすこし離れる。


「みんな優しいねー」

「そうか?普通じゃね?」

「普通なのかな」

「やまとんちゅーは優しくないさー?」

「やまとんちゅー?」

「本土の人、という意味です」

「へー。んー・・・優しいか優しくないかって言うと・・・もちろん優しい人は優しいし、優しくない人は優しくない。
でも、もしかしたらこんな風に泊めてくれる、とかっていうのは無いかもしれない」

「泊めてもいいってさー」

「お!やったさー!」


三人のあたたかみに、自然と笑みがこぼれた。


















その後首里城巡りも三人に付き合ってもらい、夕方ごろ、凛くんに連れられ永四郎、裕次郎とわかれた。




















―――――
凛くんの黒髪時代がいつまでなのかわからなかったのですでに金髪設定。
金髪にして、来年はわったーの時代さー!ってなってるときだといい←

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