I want to enter in that, too
入学式があった、あの事件の日の、昨日の今日。私はテニスコートに来ていた。
「たのもー!」
大声がコートに響く。何事かと多数の部員がこちらを向いた。
「あーん?なんだぁ?」
「あれ?あいつ・・・」
私は跡部景吾とポニーテールくんを見つけて駆け寄った。
「昨日は良いもの見せてもらったよ」
「お前は誰だ?」
「・・・一応、クラスメイトなんですけど」
クラス内で自己紹介とかはしていないし、お互い外部入学だから知らなくても仕方がないと言えば仕方がないが。
「越前。昨日、月刊プロテニスの記者の人が、お前や忍足と同じように注目しててチェックしてたって言ってたぜ」
「越前・・・?」
ポニーテールくんの解説をきいて、跡部がこちらを向く。ふと、目が合った。その瞳は、何か、探られているような感じにさせられる。
「あぁ、アメリカでちったぁ名の知れたやつか」
「ちったぁで悪かったね」
イギリスにいたのによく知っているな。試合数自体、私は少なめだというのに。
「で?そんなやつがここに何の用だ?ここは女子テニス部じゃねぇぜ?」
「私もさ、こっちに入れて欲しいんだ」
「あーん?」
何を言っているんだこいつは、と言うような跡部の視線。だが、退くつもりは無い。
「女子じゃつまらない。昨日のあれを見て、あんたたちとなら楽しくて、充実したテニスができると思った。
選手≠ノなれないなんてことはわかってる。ただの練習相手でもいい。あんたたちと、テニスがしたい」
「・・・・・」
真っ直ぐ、正直に言った。跡部は少し考える素振りを見せた後、にやりと笑った。
「いいだろう。昨日いたのなら、ここが実力主義だってことはわかってるな?」
「もちろん」
「この俺を満足させてみろ」
跡部がラケットを持ち上げる。自分で、自分の口角が上がるのがわかった。
「Ok.I make it admit!」(Ok.認めさせてやる!)
VS跡部景吾 Game Start
楽しい。すごく、楽しい。ラリーが続く。落としたくない。
「ハッ!やるじゃねぇの!」
「そっちこそ!」
スコアは4−5で負けているけど、関係ない。こんなに楽しいのは、久しぶりかもしれない。
父さん、母さん、リョーマ・・・私、こっちに・・・日本に来て良かった!
最後に跡部のスマッシュが決まり、4−6で跡部が勝利した。中央で握手を交わす。
「楽しませてもらったぜ。まさか、忍足と同じスコアになるとはな」
「I was happy!Such the happy one is after a long time…」(私も楽しかった!こんなに楽しかったのは久しぶり・・・)
「おい?」
「あっ、ごめん!」
テンションが変わると英語になるのは私の癖だ。跡部には言った意味はわかっただろうが、変わり様に驚いたのだろう。
「お前の入部を認めてやる。ただし、条件がある」
「条件?」
「お前がなるのは、レギュラーのマネージャー兼練習相手だ」
つまり、練習相手だけでなく、マネージャーの仕事もしろということか。
「望むところだ!」
こうして私の、氷帝学園中等部男子テニス部入部が決定、また、中学校でのテニス生活の方向が決定した。
「ところでさ」
「あーん?」
「跡部の事、ファーストネームで呼んでいい?」
跡部は一瞬呆気にとられていたが、すぐに笑った。
「いいだろう。だが、俺もと呼ばせてもらうぜ?」
「それはもちろん。これからよろしく、景吾」
「あぁ」
そして私たちは、再び握手を交わした。
―――――
タイトル訳
「私もその中に入りたい」
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