俺様モーニングコール
耳元で何かが鳴り響いている。うるさい。ウルサイ。Shut up.
まだ起きる時間ではないはずだ。証拠に、この音はアラームの音ではない。放っておいてもいいのだが、一向に鳴り止みそうにない。
覚醒しきらない頭で、私は携帯の通話ボタンを押した。
「・・・何」
あの音楽はあいつら≠セ。なんか曲調や雰囲気がぴったりだと思って設定していた。相手が相手なだけに、不機嫌なまま電話に出た。
『出るのがおせぇんだよ、』
「・・・・・だから、何」
『なんだよ、ちったぁ嬉しそうにしろよな。せっかく俺様がわざわざモーニングコールしてやってんだから』
迷惑極まりない。この俺様は、人の迷惑を考えないのか。さすがは『俺様何様跡部様』だ。
「・・・早すぎるし、頼んでないし、
迷惑」
『6時が早いってのか?だらしねぇなぁ』
「・・・・・」
俺様何様景吾様、自分の価値観を人に押し付けるのはやめろ。
「・・・ていうか景吾、こんな早く起きてるんなら朝練最初から出れるんじゃないの・・・?」
景吾は、朝練は途中からしか参加しない。どうせ登下校は車。そう時間はかからないだろう。
『あーん?俺様朝は忙しいんだよ』
ならなぜ電話してくる。
「・・・あっそ。あーあ、寝る時間が減った・・・授業中寝たら景吾のせいにしよー」
『あ?人のせいにしてんじゃねぇよ。授業中くらい起きてろ』
「なら部活中寝るよ?ジロちゃん起こしに行くと見せかけて一緒に寝てるよ?」
『お前な・・・』
覚醒してきた頭で文句を並べる。さて、次は何と言ってくるか・・・。
『・・・わかった。迎えに行ってやるからさっさと支度しろ。車ん中で寝てろ』
「・・・迎えいらない。ココから学校なんて車で10分くらいじゃん・・・」
『朝練中寝ていて構わねぇ、と言ってもか?』
「迎えはいらない。でも朝練中は寝る」
通話口越しに景吾の溜息がきこえてきた。溜息をつかれても困る。あんな高級車が迎えに来たら、みんな驚くし、近所迷惑だ。
ふと、景吾がずっと黙っていることに気づいた。どうしたのだろう。
「景吾?」
『・・・良かれと思ったが、お前には迷惑か』
うん、迷惑。・・・と正直に思ったが、口には出さないでおく。景吾も私を思ってやってくれたことだ。
「・・・ココから一番近いコンビニ」
『あ?』
「そこに、迎えに来て」
『・・・ハッ。最初から素直にそう言えよな』
どうやら調子を戻したようだ。単純な奴である。
「はいはい。それじゃ・・・15分後によろしく」
『あぁ。・・・っと、』
「ん?」
通話を切ろうとしたところで景吾に止められる。
『Good morning』
「・・・Good morning」
さて、支度をしよう。俺様なキングが、不機嫌にならないように。
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お題配布元
R−13
氷のエンペラー学園的13のシーン 1
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