期待の新星にちょっかいをかけよう






















全国優勝立海大もたいしたことねぇな!3年のセンパイたちにあっさり勝っちまった。まぁいい。これで俺がNo.1だ!




















と、思ってたのに、あとから来た2年のセンパイたちは、3年のセンパイたちとは比べ物にならない位、強かった。
なんでだよ、なんで・・・なんでこんな・・・!!


しかも、幸村って人は、さっきのヒトにそっくりだし!
まさか、本人・・・?いや、でもスカートはいてたよな!?
どうなってんだよ、畜生!!



















試合の結果は、彼の惨敗だった。それから彼は、部活に参加していない。


「んー・・・」

「気になるのかい?

「んー・・・まぁね。素質あるのに勿体ないなって」

「真田と同じことを言うね」

「精市はそうは思わない?」


自分と同じ顔の彼に問い掛けると、彼は小さく笑った。


「そんなことはないよ。あの子は、いい選手になると思う」

「でしょ?」

「でも、部活に来ないとなるとね・・・」

「そうね・・・」


はじっと、素ぶりをしている1年生を見た。そして、思い立ったように背筋を伸ばす。


「よし!いっちょやりますか!」


精市はというと、また小さく笑っただけだった。
























あれから俺は、部活に行ってない。なんかもう、むしゃくしゃして、いらいらして、ゲーセンで発散、しようとしてたのに・・・。


「あーもう誰だよこのブンブンってやつ!!」


対戦相手が気になって向かいを覗き込むと、なんか見た事ある顔が。


「よう。そいつ、俺俺」


テニス部の、赤髪のセンパイと、ハゲ(?)のセンパイだった。


「言っとくけど、俺、テニス部には入らないですから!」


あんなとこ、入りたくもないね!


「なんだ、負けた事まだ気にしてんのかよ」


頭ぐりぐりするな!


「あいつら、2年って言ってたけど、何者なんスか?」

「お前が戦ったのはな・・・」

「おおっと、こんなとこで立ち話もなんだし、ラーメン食いにいかね?」


なんでだよ・・・


「なぁに。おごってやるって!このジャッカルが」

「俺かよ!?」


あのハゲ(?)センパイ、ジャッカルっていうのか・・・変わった名前だな。


「なになに?ジャッカルがラーメン奢ってくれるの?」

「おー、

「おごらねぇよ!てかお前ここで何やってんだよ」

「なにって、サボりのキミたちをしかりに?」

「俺達はさぼってねぇよ?こいつの面倒見に来ただけ。てかだってサボって音ゲーやってたじゃんかよ」


後ろから、突然声がきこえてきた。会話を少しきいて、振り向いてみると、そこには。


「やぁ、ちゃんとテニスコート行けたみたいね」


あのヒトが、いた。


「あ、えっと・・・」

「なんだ?、そいつに会えてたのか?」

「会えたっていうかなんていうか・・・まぁそれは置いといて、ラーメン行くんでしょ?」

「おおそうだった!行くぜ!」

「ちょっ・・・!」


赤い髪のセンパイが俺の首根っこを掴む。ジャッカルってセンパイも、このヒト・・・先輩?も、助けてくれる気はないようだ。


「ごめんね、ブン太、無茶するやつで」

「無茶してねぇだろぃ、こんくらい」

「無茶苦茶だろ・・・」


なんか、あんま関わっちゃいけなかったような気がする・・・。



















「改めまして、私、幸村。テニス部でマネージャーやってるの」

「幸村・・・ってことは、あの、ヘアバンドの人と関係あるんスか?」


すっげぇそっくりだし。


「精市とは双子の姉弟なの。私が姉で、精市が弟ね」

「ふた、ご!?」


あぶねぇ。ラーメンを吹き出しそうになった。
双子か・・・それならそっくりなのも納得できる。いや、けど・・・このヒトの双子の弟に負けたのか、俺・・・。


「それで、あの三人についてだけど」

「これを見ろ」


ジャッカルセンパイが出したのは、月刊プロテニス。去年の優勝メンバーが載っているやつだ。


「去年立海大を優勝に導いたのは、この三人だ」


と言って指差さされたのは、俺が負けた三人。


「柳は達人マスター)、幸村は神の子、真田は皇帝という二つ名がついている。三人まとめて、立海大のビッグスリーだ」

「ビッグスリー・・・」

「いわゆる、No.1、No.2、No.3ね。順番は幸村、真田、柳」

「つまり、立海だけじゃなくて、全国の中でも破格に強いってこと」

「三人とも全国区だからね」

「そんなすげーやつらと戦えたんだ。お前は幸せ者だって」


幸せ者?冗談じゃねぇ!


「俺はそんなんじゃ満足しねぇ!」

「お前がへとへとになるまで相手をしたのも、素質を見込んでの事だろう」

「いいんじゃねぇ?誇りにおもっとけば」

「ビッグスリーだかなんだかしらねぇけど、やつらも同じ中学生だろ!?俺は、必ず三人まとめてぶっ倒す!!」


そう言って俺は、ラーメン屋を飛び出した。



















「言うねぇ・・・」

、それ、笑ってんのか?」

「笑ってるよ?すごく、楽しい」


まさか、あんなことを言う子がいるとは。


「同じ中学生、か。まったくそのとおりよね。あんたたちも少しはあの子の威勢の良さを見習ったら?」

「あそこまで行くと威勢がいいじゃなくて馬鹿だろぃ」

「言い過ぎだぞ、ブン太」

「でもま、本気なら、やってくれちゃうかもね。あのバケモノ三人を、倒しちゃうくらい、強くなるかも」


期待していようか。立海大の、新たな星に。



















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視点が難しいです

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