大阪里帰り〜兄と金髪と親友と〜
新大阪駅を出てぐーっとのびをする。そんなに長い時間ではないが、新幹線の中はやはり少し退屈だ。ついでに欠伸をする。
「女子が外でそないな大欠伸するもんやないでー」
前方から聞こえてきた声に意識を向けると、同じ顔がこちらに向かってくるのが見えた。その隣に金髪と、小柄な少女。
「えぇよ、そしたらあれは蔵ノ介でした言うから」
「東京じゃ通じひんで」
「東京来とったって言うし。久しぶり」
「せやな」
「謙也も」
「おん」
「大河も、久しぶりやな」
「えぇ、久しぶり」
三人と挨拶を交わし、誰からともなく歩き出す。
だが四人で並んで歩くのはさすがに通行の邪魔なため、前に白石と大河、後ろにと謙也というかたちになっている。
「大河、あんまそっち寄ると危ないで。こっち歩き」
「ありがとう、白石くん」
「・・・・・」
「・・・どないしたん、」
じーっと前の二人を見つめるに謙也がきく。
「・・・あの二人、付き合ってたりとかせぇへんよな?」
「あー・・・いや、まだ」
「まだ、っちゅーことは・・・」
「・・・まぁ、お互いに好きっちゅー話や」
「・・・なんや」
やっぱりそうだったのか。は自然にそう思っていた。だが、まだ付き合ってはいないのか。
「なんや、どうも時間はかかりそうや」
「ふーん・・・」
「・・・、今、どないな気分?」
「どないなって?」
「自分の兄と、親友が付き合うっちゅー」
「えぇことやん。嬉しいで」
「・・・せやな」
「謙也は嬉しゅうないん?」
「いや、嬉しいで。俺の親友たちが付き合うなんてな!」
「やったらえぇやん」
前方の二人は、後ろでこんな会話が繰り広げられているなど知らず話をしながら歩いている。
そんな様子を、たちは微笑ましく見守っていた。
並びはいつの間にか前に白石兄妹、後ろに大河と謙也になっていた。
「ほんま・・・あの二人並ぶと迫力あるわ」
「でもやっぱり白石くんの背が高いから、男の子の双子って感じはしないわよね」
「せやな。せいぜいひとつふたつ歳の違う兄弟や」
はぱっと見女子には見えへんし。失礼だが否定できない謙也の台詞に苦笑しつつ、大河は前方に目を戻した。
すると、2人が高校生くらいの女子二人にからまれていた。
「なぁなぁえぇやん。うちらと遊ぼうやぁ」
「二人そっくりやなぁ、兄弟?イケメン兄弟てえぇなぁ」
「や、せやから・・・」
白石が年上女子二人に押され気味である。苦手なものが逆ナンしてくる女子なだけあって、対処もうまくいかない様だ。
「なぁ、弟くんもお兄さん説得してぇな。お姉さんたちと遊ぼうやぁ」
弟、と呼ばれたは内心、あほくさ、と思っていた。何が、お姉さんだ。
「悪いとも何とも思ってへんけど、化粧濃いケバイやつらと遊ぶ趣味、俺らにはあらへんから」
「なっ・・・!」
男声で弟を演じて、は冷めた目で二人を見る。
「いたいけな中学生ナンパするとか、どうなん?あぁ、高校生じゃ相手にされへんから?」
「失礼なやつね!!」
「やってほんまのことやろ?それに、俺らあんたらに付き合ってるほど暇やないねん。今日は」
そこで一度切って、後ろを向く。大河と、目が合う。スタスタと歩いて、は大河の肩を抱いた。
「俺ら、この子専用やから。ケバイお姉さんは、引っ込んどり」
女子高生二人は、怒りに顔を赤くしてどこかへ行った。
「ほんま、あれくらいあしらったらどうなんや、蔵ノ介」
「・・・めんぼくない」
白石が珍しく素直にへこたれている。苦手なものはさすがの蔵ノ介も苦手のようだ。
「、すごいのね・・・」
「うちは事実言っただけやで?」
「しかもクサイセリフまで言うてくれてな。完全に俺忘れとるやん」
「それも事実や・・・あ、別に謙也のこと忘れてたわけちゃうで?」
地味にへこたれる謙也にフォローしつつ、は大河に笑みを向ける。
「今日のうちは、大河のためにおるんやし」
「・・・」
「ん?」
「白石くんがいじけてる」
「んん?」
大河に言われ白石を見てみれば、確かにいじけていた。
「なんやねん蔵ノ介、キモイでー。もちろん蔵ノ介のためでもあるて」
「そないな風にはきこえへんかったけどな」
「いじけんなやキモイから」
「キモイキモイ言うなや」
「そんなにキモイと・・・」
はしゃがみ込んでいじけている白石に近づいて身をかがませ、白石の耳元で囁いた。
「大河に嫌われるで?」
「!」
白石が物凄い形相でを見る。よかったな、大河から見えない位置で。
は、してやったりという表情で大河のそばに戻るのだった。
―――――
なにこれ(笑)
まだ蔵大くっついてないけどお互い自覚はしてる・・・何月の話やねん←
蔵ノ介さんは大河ちゃん大好きでシスコンですよ。
多分この日の夜、は蔵ノ介に大河ちゃんとのことアレコレきくんだけど、
も友香里に跡部とのことアレコレきかれて、蔵ノ介にざまぁとか思われてんだと思う←
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