グループわけをしましょう
食事が終わると、今後についてのミーティングとなった。
先生方の捜索や、生きていくための食糧や水探しをするために全員で行動するのは効率が悪いという事で、グループを海と山の二つに分ける事になった。
海側のリーダーは跡部、山側のリーダーは手塚になり、あとは行きたい方に行く、という方式だ。
少しずつ偏りつつ、比嘉が少しトラブルがありつつも、順調に決まっていった。
「おおっ、コシマエは山か?ならワイも山や!」
金太郎が声を上げる。どうやら彼は謙也から話を聞いて、越前と試合がしたくて仕方がないらしい。
「コシマエって誰だよ」
「すまんなぁ、コシマエクン。うちの一年生(ルーキー)、言い出したら聞かへんねん」
「コシマエって誰ですか」
白石が言い、越前の顔が歪んでいく。
「ま、一年生(ルーキー)同市なかようしたってや、コシマエ」
「だからコシマエって・・・」
謙也もノる。
「突っ込んだらあかん。関西人の思うツボやで、コシマエ」
「・・・アンタも関西人だね」
忍足が言う時には、すでに呆れに変わったらしい。はぁ、と越前がため息をついた。そしてふと、を見る。
「堪忍な。みんなアホなだけなんや。金ちゃんは『えちぜん』って読めへんのやろうけど。許したってや、コシマエ」
「・・・アンタものるんだ」
また、越前の口からため息がもれた。同じ顔だしね、ときこえた気がするが、思考回路は違う、と言いたい。
「ばってん、金ちゃんが山なら俺たちも山やね」
「そうせぇへんと、かくじつに皆さんにご迷惑かけるわ・・・」
「なんや蔵ノ介、オカンみたいやな」
「・・・勘弁してくれや」
白石がひとつ息をつく。金太郎の扱いには苦労しているようだ。
「大河は俺らと同じ山側やな」
「え?あぁ・・・そうね・・・」
大河がちら、と気付かれないように跡部を見る。彼にかかわらなくて済むのは非常に嬉しい。
「、お前は海側に来い」
「嫌や」
「あーん・・・?」
跡部の命令をが拒否する。跡部の眉間にしわがより、目が細まる。
「せっかく蔵ノ介も大河もおるっちゅーのに、なんで海側にいかなあかんねん」
「・・・お前・・・」
「別に山にずっとおらなあかんっちゅーわけやないやろ」
「・・・チッ」
跡部は舌打ちこそしたものの、一応は納得したようで引き下がった。
「、おまえらは管理小屋を使え」
「おん、わかった」
「雨宮大河」
「・・・なに」
大河が跡部を静かに見る。
「おまえは管理小屋で適当に過ごしてろ」
「え」
「せやな・・・大河が労働する必要あらへんし」
「・・・・・」
大河は今度は、に目を向けた。それは、先ほど大河が怒った時と同じ目。
「・・・大河?」
「だから、どうして私をそうやって遠ざけようとするの?私にだって手伝えることはあると思うし、にばかりそんなこと・・・」
「うちは元々雑用の為に合宿に参加してんねんから」
「・・・でも」
「・・・させてやればいいんじゃねぇか?」
助け舟が出たのは意外なところからで、も大河も彼を凝視した。
「やって、自分が非力なことを思い知るだろ」
言って跡部は背を向け、海側の方へと向かって行った。
(景吾、なんだかんだ言うても優しいんやから)
大河も手伝えることは手伝う、ということで決定した。
手塚が部屋割りを発表しそれぞれバラけるとなったとき、謙也が口を開いた。
「さっきから気になっとったんやけど、みんな、俺のことは『ケンヤ』って呼んでや。『忍足』が二人おるから、どっちか名前のほうがわかりやすいやろ」
「ま、俺よりはお前のほうが名前で呼ばれることが多いからな」
「そういうこっちゃ、ほな、よろしゅうな〜」
それをきいて、もふと気づく。
「せやったらうちらもやな。性別はちごうても、どっちも『白石』やし。うちのことは『』って呼んだってやー」
「・・・まぁ、この場合はしゃあないか」
白石の口から小さく舌打ちが聞こえた気がしたが、はきかなかったことにした。
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さんまた怒られるの巻
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跡部様、根は良い人だもの。
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