初心者向け料理本
「あ〜、おったおった。」
昼休み。我らが天才(という名の変態)、忍足侑士がなにか本らしきものを片手に声をかけてきた。
跡部に連れられ生徒会室に向かう道中で、は振り向く。
「どないしたん?侑士」
「今日誕生日やろ?誕生日プレゼント渡そう思うてな」
「おぉ、おおきに」
「これや」
と、忍足が差し出したのは本の包み。
は弁当を跡部に預け、本の包みを開けた。
「・・・・・」
「どや?」
「・・・なんだったんだ?」
固まっているを見かねて、跡部がの手元を覗きこむ。
「・・・『今日からあなたも料理人!初めてのクッキング』・・・?」
「これで俺に美味い弁当作ってぇな」
「あーん?何言ってやがる忍足」
「なんや?えぇやん別に」
ばちばちと火花が散る。その横で、が口を引きつらせた。
「・・・侑士」
「なんや?」
「うち、料理初心者とちゃうねんけど・・・?」
なんせもう自炊3年目だ。初心者とは言えない。
「せやけど、初心は大事やろ?」
「ゆーか、この本持っとるし」
「なんやて・・・!?それは見逃しとったわ・・・!」
「いや、わざとやろ。これ、めっちゃわかるとこに置いてあんねんで?」
キッチンのミニ本棚に。忍足もキッチンには何度も入っているし、知っているはずだ。
「同じ本もろうてどないすんねん・・・せめて持っとらんの買うてや・・・」
「、よう見てみ。これ、あのホントはちゃうねんで?」
「どこがちゃうねん」
「ここ」
忍足が示したのは本タイトルの後ろ。小さく文字が書かれている。
「・・・今日からあなたも料理人、初めてのクッキング・・・忍足侑士くんの為の料理本・・・」
「な?中には俺好みの味付けやら、俺が食いたいもんに付箋したりしてあんねんで」
「・・・・・あほらし・・・」
「なんでやねん!」
は呆れてため息をついた。
「そもそもこれうちの為ちゃうやん。ただ単に侑士が食いたいもんをうちに訴えとるだけやん」
「まぁえぇやん。お誕生日おめでとさん」
「・・・言葉だけ受け取りたいわ。おおきに」
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意味が解らなくなりましたw←
昼休みは跡部に生徒会室へ連行されます。生徒会室なら追っかけが来ないので居心地がいいのです。
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