映画のチケット



















とある休憩時間。珍しく、本当に珍しく、日吉がの教室に来た。


「珍しいなぁ若。どないしたん?」

「・・・本当は部活の時でもいいんですが、渡し損ねてはいけないので、来ました」


と、日吉が差し出したのは、二枚のチケット。


「映画のチケット?」

「日吉・・・お前、ここぞとばかりにとデートしようってのか?あーん?」

「跡部部長には関係ありません」


首を突っ込んできた跡部をばっさり切り捨て、日吉がを見る。
はチケットを1枚受け取って、しばし固まった。


「・・・若」

「なんでしょう?」

「これ・・・ホラー映画のチケットやんな・・・?」

「そうですね。俺はホラーが好きなので」

「・・・・・」


はホラーが苦手だ。それを、日吉も知っているはず。


「な、なぁ、サスペンスにせぇへん?」

「でも、もう買ってしまっていますし」

「他の子と行けばえぇやん?長太郎とか」

「嫌ですよ。なんで俺が鳳と映画行かないといけないんですか」


二人がホラー映画を観ている所を想像して、確かに無いな、と跡部は思った。


「せやけど、うち、ホラーあかんし・・・」

「いいじゃないですか。せっかくだし、ホラー克服ということで」

「・・・うまいこと誘導させるなぁ若。わかった、行こう」

「決まりですね。それでは、俺はこれで」


日吉が教室を出て行くの見送ってから、はホラー映画のチケットを眺め、小さくため息をついたのだった。



















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若は頑としてホラー以外は観そうに無いw先輩が怖くて嫌がっているのもお構いなし。
でも若はあわよくばくっついてくれば・・・!なんてことはさっぱり頭の中にありません。だって純粋だもの!←


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