キャンディひと粒





















鳳と樺地の頭を撫でていると、がちゃ、とドアが開かれた。顔を向けるとそこにいたのは、赤い髪が特徴的な向日だった。
彼は軽く目を丸くして三人を見ている。


「・・・なにしてんだ?」

「二人から誕生日プレゼントもろうたから頭なでなでしてんねん」

「たん、じょうび・・・?・・・あ!」


思い出したかのように声を上げる向日。そんな向日に、鳳が呆れたように言う。


「忘れてたんですか?向日さん」

「え、いや!?忘れてなんか、ねぇよ?」

「声裏返ってますよ」

「ちげぇって!あー、えーっと、そうだ!」


ごそごそと向日が鞄を漁り、何かを握ってに突き出した。


「これ、やるよ!」

「これ、って・・・飴ちゃん一個かいな」


向日の掌の上には、一粒の飴玉。ごく普通の、何の変哲もない物だと思われる。


「ただの飴じゃないんだぜ!」

「どんな飴ちゃんなん?」

「『アタリ』でもらった飴だ!」

「・・・・・」


『アタリ』、というのは、アタリハズレつきのお菓子で、アタリが出ればもうひとつもらえる、というやつだろうか。
は自慢げに言う向日に少しだけ呆れつつ、キャンディを受け取った。


「おおきに、岳人。後で美味しくいただくわ」

「おう!味わって食えよ!」


どうやら、の誕生日をすっかり忘れていたことはもう頭に無いらしい。
その姿にまた苦笑し、は自分より下にあるその頭をがしがし掻き回した。


















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素で忘れていそう(笑)
それでも手持ちの飴でなんとかしようとするがっくんが可愛いから許す(え)
がっくんは氷帝一漢前だから気にしません←

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