大阪里帰り 〜忍足従兄弟'Sと一緒〜
夏休み。は3日ほど実家に帰省することにした。そしてなぜかそれに、忍足も着いて来ていた。
「・・・なんでおんねん」
「久しぶりにイトコ家んとこ遊び行って来いって言われてもうてな」
「ほんまかいな・・・」
「えぇやん。お泊りさせてー言うとるわけやないんやから」
「当たり前や」
大阪駅を出て歩いていると、懐かしい、たこ焼きの匂いが漂ってきた。
「やっぱ本場のたこ焼きは匂いもちゃうわ・・・」
「自分で作らへんの?」
「こないだウチでたこ焼きパーティしたやん。せやけど、自分で作るんとたこ焼き屋の職人が作るんとは、やっぱちゃうやろ」
「まぁな。店はそれで飯くっとるわけやしな」
そう言いつつ、お気に入りのたこ焼き屋で1パック購入し、二人で分けて食べる。
「なんやデートみたいやな」
「勘弁してほしいわ・・・侑士が彼氏とかありえへんわ・・・」
「、前から思うてんけど、俺の扱いひどうないか?」
「気のせいやって」
ぱくっとたこ焼きを頬張ると、幸せに満ちて顔がほころぶ。それはもう、幸せそうに。
「ほんま・・・この顔跡部に見せたらなんて言うやろな」
「ん?なんか言うた?」
「別に、なんも」
言って忍足もたこ焼きを頬張る。と、忍足に影がかぶさり視界が暗くなる。
「あ」
「忍足クン・・・ウチのとなに仲ようたこ焼き食うとるんや・・・?」
「白石・・・」
振り向いてみれば、そこにはと同じ顔が。双子の兄、蔵ノ介である。
中学一年という発育途上の今はまだ女子とさほど大差なく、並んだらどちらかわからなくなりそうなくらい、二人は似ていた。
「うわっ、白石が二人もおる!恐怖や!」
「は?」
突然声が割り込み、は声を上げた。と、蔵ノ介の背後から人影が出てくる。
「なんや、謙也もおったんかいな。気付かへんかったわ」
「気付やアホ!久しぶりのイトコになんちゅー仕打ちや!」
「・・・えと、噂のイトコ?」
「せや」
「噂!?噂てなんやねん!?侑士になに吹き込まれたんや!?アレか!?それともアレか!?ソレか!?」
「え、と」
がしっと両肩を掴まれ問われまくり、さすがのもたじろいだ。
「けーんーや!」
「なにしてんねん謙也。驚いとるやんけ」
蔵ノ介が謙也を引き剥がし、忍足が謙也を小突く。
「あーっと・・・初めまして、えと、謙也、でえぇんかな?」
「おう!俺は侑士のイトコで忍足謙也や!よろしゅーな、!」
「なに当たり前のように人の妹呼び捨てにしてんねん謙也」
「せやで謙也。のこと呼び捨てにしてえぇんは氷帝テニス部だけや」
そこで、蔵ノ介と忍足の視線が交差する。
「さっきから気になってんけど・・・まさか氷帝テニス部みんなのこと呼び捨てにしとるんか?」
「せやな、レギュラーはみんな呼び捨てにしとるわ。も大抵は呼び捨てで呼ぶし」
「なんやて・・・?」
蔵ノ介の目が段々と細められていく。その瞳には、どんな感情が込められているのやら。
「蔵ノ介も侑士もえぇ加減にしときや。うちがどう呼ぼうがうちの勝手やし、うちのことは名前で呼んでって氷帝のみんなには言うとるんやから、
名前で呼んでもかまへんのや。せやから謙也も気にせんと名前で呼んでぇな」
「お、おう!」
が謙也に笑いかけると、チッという音が二つ同時に鳴った。は気づいていない。謙也は気づかないふりをした。気付きたくなかった。
「ほな、いこか」
空になったパックをゴミ箱に捨て、は男三人と共に歩き出した。
途中何度か蔵ノ介と侑士のいがみ合いが起こり、そのたび謙也は持前のスピードスター脚力で逃げ出したくなったという。
―――――
侑士はLOVEではないですよ。は氷帝テニス部のみんなに愛でられてるんです。
LOVE向けてるのは多分跡部様だけです。そんでみんながを愛でるのやきもきしてみてればいい←
蔵ノ介はただのシスコンです←
舌打ちは、ぎゅっサバでしてたもんだからつい・・・w
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