あなただけを見つめます





















11月。冷たい風が吹き、秋から冬へ移り行く季節。


はぁっと窓に息を吹きかけると、白い円が描かれた。すうっと消える円から、窓の外を見る。テニスコートでは、今日も厳しい練習が行われている。
代替わりをして、もう1、2年中心の練習となっているが、高等部でもテニスを続ける物達は練習に参加していた。
の視線も、その中の一人に向けられている。黒い帽子を被り、厳格な表情で後輩たちを指導する姿は、あまり変わっていないように見える。
だが、ふっと一瞬息をつく姿も見え、は小さく笑みをこぼした。



(今日も頑張ってるなぁ・・・)



いつも、いつも。彼は変わらずテニスをしている。大好きな、テニスを。
大好きなテニスをする彼の姿が眩しくて、目が離せなくて、ここで彼を見るのが日課になっていた。



(あ、練習が終わる・・・)



下校の時刻だ。は慌てて荷物を鞄に詰め込み、教室を飛び出した。



(今日も格好良かったな)



寒さとは別に頬を赤らめ、は帰宅路を歩いた。





明日も同じ所で彼を見たい。見ていたい。は心温め、明日を思うのだった。










(明日も真田くんを見ていられますように)









そう願い、目を閉じた。





















Created by DreamEditor