上機嫌のてぃーだにはご注意を
が比嘉中に転入して、三日目。少しずつ新しい学校生活に慣れてきた。が、やはり沖縄弁・・・うちーなーぐちは慣れない。
「
お前、美ら海、ってわかるんばー?」
「そ、そんくらいわかるし!綺麗な海、じゃろ・・・?」
「語尾にハテナとばしても説得力ねーらん」
「う・・・」
反論ができず、は軽く俯いた。少し頬が膨れている。
「いーもんこれから知ってけばいいんじゃけぇ」
だがすぐに顔をあげて鬱陶しそうに前髪を払った。甲斐が「できるんばー?」と笑う。平古場は、じっとを見つめていた。
「どしたの?凛」
「
お前、前髪かしましくないさー?」
「かしまし・・・?」
「邪魔じゃないんばー?」
「あー・・・」
言われては前髪の先をつまんだ。そういえば、だいぶ伸びてきた気がする。
「これ、
お前にやるさぁ」
「ヘアピン?あ、この花って」
「アカバナーさー」
「沖縄じゃあハイビスカスをアカバナーって呼ぶん?」
「そうさー」
「へー・・・」
はじっと、平古場に手渡されたヘアピンを見つめた。どうして平古場がこれを持っていたのか、という疑問はあったが、さりげない気遣いが、嬉しかった。
「へへっ、にふぇーでーびる、凛!」
「お?覚えたんさ〜?」
「おうよ!」
三人で笑い合う。これからこんな日々が続くのだと思うと、楽しみで仕方がなかった。
今日はが沖縄に来て初めての体育の授業の日。サンサンと陽が降り注ぐ中、はグラウンドへ駆けだした。
「おい、
そんなにはしゃぐとすぐにばてるんどー」
「大丈夫大丈夫!」
「
何が大丈夫なんだか・・・」
平古場と甲斐が呆れてを見ている。がハイテンションのまま、授業は進んでいった。
太陽は上機嫌で、陽を弱める事を知らない。
「裕次郎、行くよー!」
「いつでも来い!」
がドッジボールのボールを片手で持ち、振りかぶった。
「・・・へ?」
そのとき、ふらっと頭が揺れ、視界が揺れた。
「「!!」」
平古場と甲斐、二人の声を遠くできき、は意識を失った。
頭が重たい。でも、冷たくて気持ちがいい。そんな思いを抱きながら、はゆっくりと目を開けた。
「お、気がついたさー?」
「裕次郎・・・」
甲斐が顔を覗き込んでくる。額の上のタオルをどけて手を乗せ、「熱は無いな」と言っている。
「だから言ったんさー。ばてるって」
「、
お前、日射病になりかけたんばーよ」
「あー・・・」
それで、倒れたのか、と理解する。
「
沖縄の暑さは本土とは違うんだから気を付けないと駄目やっしー」
「・・・ごめん」
「
今は水分とってしっかり休め。少しずつ慣れていくしかねーらん」
「・・・うん」
甲斐から水の入ったペットボトルを受け取って口にする。カラカラの喉が潤った。
それからは、適度に水分をとりつつはしゃぐ、という方法を学んだ。
―――――
多分凛くんが持ってたヘアピンはお姉さんのじゃないかと←
それにしても二人の書き分けとうちーぐちが鬼畜・・・!!
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