戦艦に向けて撃ちながら、は嫌な予感がしてミゲルたちの方を見た。ジンと、ストライクと、アスランの乗っているX303イージス。ちょうど目に映ったのは、ストライクがジンにシュベルトゲベールを振り下ろした様。そこから爆発までが、やけにスローモーションに見えた。

『うわああああああ!!!』

耳につくのは、毎日のように当たり前に聞く声。斜めに斬りおろされたジンが、爆発した。

『ミゲルー――!!!』

アスランの叫びがコックピット内に響く。縛炎の中にジンの残骸が散らばった。

「ミ・・・ゲ、ル・・・ッ?・・・ミゲルー――!!!!!」

ぱらぱらと落ちていく破片が現状を鮮明に現している。頭の中が真っ白になって、口の中が乾き、目のはしに何かがにじむ。

『オロール!!くそっ・・・!』

追い打ちをかけるかのようにマシューの声が響く。戦艦によってオロールが撃沈されたことを把握した。は動けないまま、目の前で対峙する2機を目に映していた。

!アスラン!どこにいる!?』

マシューの声がどこか遠くで聞こえるようで。

『キラ!・・・キラ・ヤマト!やはりキラ・・・君なのか!?』

だがアスランの声はすぐ近くに聞こえていて。

『アスラン・・・アスラン・ザラ!』

キラの声も、コックピットに響いていて。やがて頭の中がパニック状態のまま、ピピピという機械音を耳にした。それはマシューが墜ちたことを、意味していた。

「・・・オロール・・・マシュー・・・」

崩れていくへリオポリスの中に、戦艦と、MSが3機。

「・・・ッ!!」

何かが弾けた、そんな気がした。


「あああああぁぁぁぁぁ!!!」

戦艦に向かって突撃していく。自分でもどうやってタルタロスを動かしているのかわからないほどに。

『そこまでだ、

「!」

後少しで射程距離にはいるというところで、クルーゼからの通信が入った。

『もういい、戻ってくるんだ』

「しかし隊長!!」

『今ここで君まで喪うわけにはいかない。わかるな?』

「・・・ッ・・・了解、しました・・・っ」

タルタロスの前進を止め、引き返そうと動かす。そのとき、ヘリオポリスに大きな穴があいた。

「え・・・?」

ヘリオポリス内の空気が外に吸い出されていく。ストライクはその穴に吸い込まれていってしまった。

「冗談じゃ、ない・・・っ!」

宇宙に放り出されないようにあがき、崩壊していくヘリオポリスを後目にしながら、はヴェサリウスへと帰艦した。





















帰艦し、しばしの休息が与えられる。まだ戦闘ラインは抜けていないから決して気は抜けないのだが、今のは脱力しきってベッドに座り込んでいた。ヘリオポリスが粉々になったことよりも、キラがミゲルをい討ったという事実の方が重たかった。何か考えようとしても、浮かんでくるのはミゲルの最期。そして対峙するイージスとストライクのことばかり。ぎゅっと拳を握りしめ、膝の上で震わせる。そのまま俯き、嗚咽を漏らした。

「もう・・・なんなのよ・・・」

考えたくない、考えられない。だがこれはまぎれもない事実で、現実。は一人、静かに涙をこぼした。





















だいぶ落ち着いてきて艦内を進んでいると、前方からアスランがやって来た。目が合うと、どちらからともなく立ち止まる。

・・・」

「・・・ん?」

の目が赤いことに気づいたアスランが視線を落とし、沈黙が流れる。

「ねぇ、アスラン」

何か言われる前にが先手をとった。

「ストライクの彼とは、どういう知り合いなの?」

「・・・月にいた頃の、友達だよ」

「友達、か・・・」

アスランが苦痛に顔を歪める。おそらくアスランも、と同じくらいつらさを抱えているのだろう。

、俺は、キラを説得する」

「説得?」

「あいつだってコーディネイターだ!話せばきっとわかる!」

「・・・・・」

が少し間を空けて口を開こうとした、その時。戦闘配備を知らせる警報が響いた。二人は顔を合わせ、同時に床を蹴る。

(説得、か・・・そんな簡単な話なら、いいんだけどね・・・)

は期待の欠片もな表情で戦闘配備につく。

、タルタロス、出撃する!」

タルタロス、そしてイージスが、ヴェサリウスを飛び出した。






















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