アスランが動きを止めた。少年が―――キラが彼の名を呼んだのだった。この二人、どうやら知り合いのようだ。二人が動揺して固まっている中、女士官が銃の引き金を引いた。

「アスラン!」

も、動揺している場合ではないとアスランを呼ぶ。アスランは難なく弾を避け、がいるところまでさがった。

「この機体はもういい。あっちをお願い」

「・・・わかった」

アスランを隣りの機体へ促し、も逆隣りへ行こうとする。しかし、一度だけ、彼を振り向いた。少年はちょうど女士官によってコックピットへ押し込まれた所だった。アスランも名前を呼んでいたし、何より、間違えるはずがない。

「・・・できれば、こんなところで逢いたくはなかったな」

呟きは爆音の中に消えた。アスランの機体が動き始めるのを見ると、も急いで残りの一機に乗り込んだ。



General

Unilateral

Neuro-link

Dispersive

Autonomic

Maneuver



機体を起動させるとモニターに文字が飛び交う。

「G、U、N、D、A、M・・・ガンダム?」

それがこの機体の名前だろうかと思っていると、また新たに文字が浮かんだ。

「X306-タルタロス・・・これが個体名か・・・」

それにしてもこのOSは酷過ぎる。は1分とたたないうちにOSを書き換え、タルタロスを発進させた。





















外は惨劇だった。ミゲルたちによって辺りは破壊しつくされ、火の海と化していた。アスランの機体を前方に確認し、ミゲルのジンのそばに降り立つ。キラと連合の士官の乗った機体が、離れた所に着地した。

、アスラン』

『ラスティは失敗だ』

『何?』

「向こうの機体には連合の士官が乗ってる」

見れば、動きがぎこちない。ろくに動かせてはいない様子だ。

『ならあの機体は俺が捕獲する。お前らはそれを持って先に離脱しろ』

「ミゲル」

『なぁに、大丈夫だっての』

言ってミゲルは向こうの機体に斬りかかって行った。

(・・・キラ・・・)

ジンのサーベルが斬りかかる、とその時、あの機体の色が変化した。グレーの装甲が、白と青と赤に変わり、サーベルを防いだ。

「これ・・・フェイズシフト装甲か・・・!」

地球連合軍、なんてものを造るんだ。フェイズシフト装甲には、ジンのサーベルは通用しない。

「フェイズシフト・・・これか」

スイッチを押すと、タルタロスの装甲が黄に変わる。

「私らしい色じゃない。気に入った!」

アスランの方を見れば、機体の色がワインレッドに変化していた。あちらもフェイズシフト装甲を展開したようだ。


『お前らははやく離脱しろ!いつまでもうろうろするな!』


ミゲルの声が耳につく。が、どうも気になって離脱する気にはなれない。アスランも同じ思いだろうが、意を決したのか、飛び立っていった。連合側の機体は初期起動の設定ができていないのだろう、まだろくに動けていなかった。だがもしキラが操縦したら、あっという間にOSを書き換えて動かしてしまうだろう。そう考えて頭を振るった。そんなことは、してほしくない。

(お願い、キラ。操縦するなんて考えないで・・・!)

だがの願いは、虚しくも呆気なく崩されることになる。





















動きが、変わった。

ジンをふっとばし、白い機体が反撃する。

「まさか・・・」

先程の女士官がやったとは思えない。この無茶苦茶なOSをすぐさま書き換え、これだけの動きをするのは、やはり。

(キラ・・・!)

ミゲルが追い込まれていく。彼も急な動きの変化に動揺しているのだろう。アーマーシュライダーを両肩の関節部分に突き刺され、ジンの動きが停止する。

「ミゲル!」

おそらく通信も使えない、完全に機能停止してしまった状態だろう。次のミゲルの行動を先読みし、はタルタロスをジンに近づける。ジンのコックピットが開き、ミゲルが飛び出した。タルタロスの手でミゲルを拾い上げて空に飛び立つと、ジンが爆発した。






















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