ヴァルキリーの帰還





















「復活!!」

あの事件から二か月後。ようやく退院して隊に復活したが、基地に足を踏み入れて最初に言ったのがそれだった。何事かとそちらを見る者たちがいたが、の姿を見て納得と、喜びの表情を浮かべる。はそんな彼らに挨拶しつつ、隊長室へと向かった。部屋の前でひとつ深呼吸をし、入室する。

、本日よりクルーゼ隊に復帰いたします!ご迷惑、ご心配をおかけしました!」

ビシッと敬礼してみせたに、クルーゼは満足そうに微笑んだ。





















ラウンジへ行くと、大勢がの帰還を喜んだ。

「お帰りなさい、

「お帰り」

ニコルとアスランに「ただいま」と返す。自然と笑顔になった。

「よ、お帰り」

「お帰り、!」

ディアッカとラスティにも「ただいま」を。続けてイザークを見ると、なぜだか少しふてくされた様子。

「イザーク?」

「・・・ふんっ!お前が帰って来ずとも、どうにでもなったものを!」

後ろで「ちょっとイザーク、そんな言い方・・・」とニコルが言いかけ、アスランが止めている。イザークという人物がわかってきたは、苦笑した。

「イザーク」

呼ぶと、そっぽを向いている顔で、目だけでちら、と見てくる。

「ただいま」

「・・・・・・・・・・・おかえり」

小さく、だがちゃんと聞こえた声に笑顔になった。素直じゃねぇなぁとディアッカが笑うと、イザークが怒鳴り声を上げる。こんな光景が、なんだか懐かしい。

「おーおー盛り上がってるなぁ」

「ミゲル、オロール、マシュー、ただいま!」

「おかえり、

「まったく心配掛けさせやがって」

オロールとマシューにそれぞれ小突かれて笑う。

「やらかしちゃったけど、ちゃんと復帰したから結果オーライよね!」

「馬っ鹿か!あんなのもうごめんだっての!」

「いったー!」

ミゲルに頭を思いきり叩かれ、うらめしそうに彼を睨む。

「さて、お転婆姫も戻ったし、復帰祝いするか!」

「え、そんなのいいのに」

「おまえに拒否権はない!」

「えええええ」

あれこれとミゲルが話を進めていく。始めからするつもりだったらしい。提案というよりは確認という内容だった。
その日の業務が終わると、の帰還祝いが盛大に行われたのだった。





















「ふー、参った参った」

大分盛り上がってわいわい騒いでいる中、騒ぎを避けて隅へ避難していたイザークの所へが来た。

「いいのか?主役が離れて」

「いいのいいの。もう好き勝手にどんちゃんしてるし」

確かに、がいなくなったことにも気づかず賑やかなままだ。明日も任務だからとアルコールを口にしている者は多くないはずだが、場の雰囲気に酔ったというやつだろう。イザークの隣に座ると、持っていたグラスのジュースを口にし、一息つく。

「よくもまぁこれだけ騒げるわよね」

「それだけお前が帰ってきて嬉しいんだろう。・・・愛されているな」

イザークの言葉に目を丸くして瞬かせた後、は照れてはにかんだ。

「・・・、俺は」

真剣な声になったイザークを、は真面目な顔で見つめる。

「もう、こんなことにならないよう強くなる。俺の不甲斐なさでお前が・・・誰かが傷つくのは、もうごめんだ」

凛とした氷青の双眸に覚悟の輝きを感じ取り、は頷いた。

「私も、私のせいで仲間が傷つくのは嫌。・・・一緒に強くなりましょ。大切なものを、大切な場所を、大切な人を守れるように」

「・・・あぁ」

誓いとも言えるそれに、とイザークは乾杯した。






















Created by DreamEditor