新たな光へ





















穏やかに思える時間も、そう長くは続かなかった。









たちは食堂のモニター前にいた。流れてくるのはプラントのニュース。評議会のパトリック・ザラ派が取り押さえられたとの内容であった。そこにはイザークの母、エザリア・ジュール、さらにディアッカの父、タッド・エルスマンの姿もあった。タッドは穏健派だったそうなのだが、ディアッカがMIAと知らされてから、過激派にうつったのだという。これを見る限り、イザークたちが悠長にしている時間はなさそうである。


「デュエルの調整は終わってるから、はやく戻って」



「何度言っても、無駄だからね」

「・・・」


言おうとしたことを先に封じられ、イザークが苦い顔をする。パイロットスーツに着替えさせてドッグまで連れて行ったときには、デュエルはもういつでも発進できる状態になっていた。バスターはかなり破損しているしもう修繕する意味もないとのことで、ディアッカはイザークとともにデュエルに乗ることになる。


「エザリア様達、謹慎くらいで済めばいいんだけど」

「俺達も評議会に掛け合ってみる」

「えぇ、そうね。カナーバさんがなんとかしてくれると信じてるわ」


こうして話している間にも、時はどんどん猶予が無くなっていく。


「さ、はやく行って」

「・・・

「ん?な、に、!?」


名を呼ばれたかと思うとぎゅっと抱きしめられ、は慌てた。「ちょ、なに、突然、なに?」という焦りの声をきいてもイザークは離そうとしない。


「・・・待ってるからな」

「・・・」

「お前がプラントに戻ってくるのを、待っているからな」

「・・・」


から返事はないが、今はそれでいい。自分のおもいを伝え続ければいいと、イザークはそう思うようになっていた。そしてイザークは身体を離す際、一瞬だけの頬に口づけを落として、デュエルのコックピットへととんだ。何が起きたのか一瞬では把握できなかったは、そこに何かがあった感触だけを頼りにこの一瞬の記憶を掘り起こし、頬にキスされたのだと理解して赤面した。


「いっ、いっ、イザーク!!?」


すでにコックピットに入ってしまっての声はきこえていない。だがその慌てぷりをモニターで見て、イザークは小さく笑った。シートの後ろにいるディアッカがやれやれと肩をすくめたが、彼もこの状況は面白がっていた。デュエルが発進するのでは移動する。イザークとディアッカの乗ったデュエルを見送り、彼らと、彼らの母、父の無事を祈った。



















イザークたちを見送ると、AAら三隻同盟も行動を開始した。これからはオーブへ身を移すことになるのだが、エターナルは完全な宇宙艦であり、地球へは降下できない。クライン派所有の隠し場所≠ヨと収納し、ラクスらはAAへ移動してきた。そしてAAとクサナギの二隻は、地球への降下を開始した。




















戦いは終わった。だがナチュラルとコーディネイターのわだかまりは、すべてがぬぐえたとはいえない。またこうして争わなければならない日が来るのかもしれない。そんなことはもう起きてほしくない。ただ戦って、どちらかが滅びるまで戦って、それで何になるというのだろうか。何が残るというのだろうか。相手のすべてを認めることはできないであろう。だがすべてを否定する必要もないということを、世界中の誰もが心にとどめなければ、また争いの火蓋は切って落とされるだろう。もしそうなったときは、また止めるしかない。くだらない争いは、何度でも終わらせよう。何度でも、この命、この力がある限り―――




















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