戦闘が始まった。イージスは再びストライクと―キラと対峙した。そしてキラが戦う理由を知る。キラもまた、友達を守るために戦っていた。そこへデュエル―イザークが加勢に入る。ということは、敵艦はディアッカとニコルが相手をしているのだろう。ふとは、“ヤツ”がいないことに気づいた。
「鷹は・・・っ!?」
宇宙に出ているのはストライクのみで、メビウス・ゼロの姿はない。まだ出撃できる状態ではないということだろうか。
「・・・・・」
嫌な予感がする。背後からはガモフが迫っているし、アスランたちに任せて大丈夫だろう。は方向転換し、ヴェサリウスのほうへ向かった。
『!?』
「イザークたちはそのまま!」
それだけで、無駄な言葉は発しない。4人もストライクと敵艦の相手だけで手いっぱいのようで、追っては来なかった。
MAを探知したときには、すでにヴェサリウスは攻撃を受けていた。必要な打撃を与えると、メビウス・ゼロはすぐさま引き返していく。
「こんの・・・!」
逃がしてなるものかとはメビウス・ゼロへ照準を合わせた。だがちょこまか飛び回るMAにはなかなか当たらない。
「エンデュミオンの鷹の名は伊達じゃないってわけね!」
それなら、と全速で急接近する。しかし向こうも何か急いでいるらしく、差は一向に縮まらない。
『なにをしている、アスラン!命令は撃破だぞ!?』
『この機体、捕獲できるならその方がいい』
不意に飛び込んできた通信。状況がうまく飲み込めないが、イージスがストライクを捕獲したらしい。ヴェサリウスは被弾してしまったから、そのままガモフへ着艦する気なのだろう。
「アスラン・・・キラ・・・」
なにが正解かなんてわからない。ただはMAを追うことだけを考えた。
MSが5機、MAが1機。メビウス・ゼロが撹乱させている間にイージスから解放されたストライクが戦艦へと戻っていき、それをデュエルが追っていった。メビウス・ゼロをアスランたちに任せ、はイザークの援護に回る。ストライクはどうやら外で装備を変えるらしい。その隙を与えないよう、デュエルがストライクをロックした。被弾が先か、装填が先か。爆煙が上がるその中から、ビームが放たれた。
『なに!?』
「イザーク!」
不意をつかれたそれは、デュエルの右腕を吹き飛ばした。シュベルトゲベールはいくらフェイズシフト装甲の盾でも容易には防ぐことができない。が前に出て牽制している間に、バスターがデュエルを回収する。
『!』
「先に離脱しなさい!」
『だが・・・っ』
「いきなさい!!」
有無を言わせぬ物言いで4機をガモフへさがらせる。充分離したか、とも離脱しようとしたとき、ストライク、メビウス・ゼロの一斉射撃が向かってきた。
「・・・ッ!!」
反応が遅れ、回避ができなかった。強い衝撃にみまわれ、額からなま暖かいものが流れるのを感じた。
(しまった、頭を・・・)
段々と視界が狭まっていく。暗闇に墜ちる直前、自分を呼ぶ4色の声が聞こえた気がした。
ダンッとロッカールームに大きな音が響く。背中を強く打ちつけられたアスランは顔を歪めた。イザークが怒りを露わにし、アスランに怒鳴りつける。ディアッカも冷静そうに思える皮肉を口にしたが、怒りの色が見てとれた。そこへニコルが仲裁に入りなんとかおさまったが、彼もまたアスランがとった行動には動揺していた。
「おまえがあんなヘマをおかさなければストライクを墜とせたし、が、囚われることもなかった・・・!!」
それだけ言い捨てるをイザークはロッカールームを飛び出し、ディアッカもその後を追っていった。