夕方突然襲われ、その人物が自分のファミリーで自分を試すために勝負をしかけたと言われたツナは、その人物・が「また明日」と言ったことに疑問を抱いて考え込んでいた。
「10代目、おはようございます!10代目?」
「えっ?あ、あぁ、おはよう、獄寺くん」
「どうしました?何か考え事ですか?」
「昨日の・・・が言ってた事が気になって」
「また明日、ですか」
うん、と頷くと、獄寺は腕を組んで「うーん」と唸った。
「あいつもよくわかんねぇとこがありますからね・・・」
「そうなんだ・・・」
また待ち伏せされてたりするのかな・・・と心配になっていたツナだったが、担任の「席につけー」という言葉で我に返って席についた。なんでも転入生がきたらしい。少し前に獄寺が来たばかりなのに、このクラスはよく転入生が来るなぁと思いながら、転入生が入ってくるのを待つ。少ししてツナより背が少し高い女子が入って来た。彼女を見てツナが「ん?」と首を傾げる。
(どこかで、見たような・・・?)
ふと獄寺の方を見れば、彼は驚愕に満ちた顔をしていた。
「 です。よろしく」
「えええええええ!!!!????」
自己紹介した彼女を目の当たりにして、ツナは教室中に声を響き渡らせた。
転入生は質問責めにあう、というのはお約束のようで、も休憩時間は囲まれていた。主に囲っているのは女子で、質問には涼しい顔で答えていた。
「どこから来たの?」
「イタリア」
「帰国子女なんだ!?」
「帰国・・・になるのかな?生まれも育ちもイタリアだけど」
「でも日本語上手いね」
「純日本人であることには違いないしね。とりあえず日本語、英語、イタリア語、スペイン語あたりは話せるよ」
「へ〜!」
それをききながら、ツナも内心で「へ〜」と言っていた。昼休みでやっと大きな空き時間を得ることができて、ツナ、獄寺、は屋上に来ていた。
「ど、う、い、う、こ、と、な、ん、だ!?」
「こういうことだけど」
「おまえなぁ!」
「また明日、って言ったはずだけど?」
そう言われてしまっては言い返す言葉が無い。獄寺は「ぐぬぬ」と唸った。
「あああああの!!!」
「うん?」
ツナが突然声を上げる。はそちらを見て首を傾げた。
「なに?」
「おっ・・・女の子、だったんだね・・・」
「あぁ、うん、そうだよ」
「ごめん!!」
「は?」
いきなりあやまられ、は目をぱちくりさせた。
「俺、女の子の顔殴っちゃって・・・!」
「・・・しつこい」
「う」
またその話か、とはツナにジト目を向けた。あれはお互い様でおさめたのだ、蒸し返すなと。
「もう治ったし、問題ないよ」
「う、うん・・・」
すると、この話はもう終わりだとでも言うように予鈴が鳴った。急いで昼食を片付け、3人は教室へと戻った。
放課後。ツナと獄寺に同じくクラスメイトの山本武を交えて4人で一緒に帰ることになった。
「綱吉のファミリー候補の1人、山本武」
「ん?」
「能力は今の所運動神経のみ」
「んん?」
分析するような言い方をするに山本が首を傾げる。だがはそのまま続けた。
「だがその奥には高い戦闘センスを秘めてる・・・先が楽しみだね」
「???」
「なぁにぃ〜〜〜?」
獄寺が山本にガンをとばすが、山本はの言っていることがわからず首を傾げているばかりで、は素知らぬふりだ。
「までリボーンみたいなこと言う・・・」
「私は綱吉にボスになってほしいからね」
「ん?ツナはもうマフィアごっこのボスだろ?」
「ごっこ・・・」
山本の天然発言にの口元が引きつった。
(マフィアごっこだと思ってるのか・・・ある意味大物だなぁ・・・)
並大抵のことでは気が動転しないというのはいいことだが。
「まぁ、とにかくこれからよろしく、武」
「お?おう!よろしくな!」
に、と笑うと山本も笑顔で返す。人懐こそうな、どこか底の知れない少年だと、は感じたのだった。