オマケの罰ゲーム



















サスケ突撃兵化をきっかけに、合ってきていたチームワークはバラバラになってしまい、下忍達はタイムアップで任務失敗に終わった。肩で息をする下忍達に、おまえらなぁとカカシは呆れの声を落とす。ちなみに片腕には未だ五歳児のを抱えたままである。

「こんなことでどうするんだ。まるでバラバラ、今日はとくに酷いぞ」

「・・・チッ」

カカシの言い分にサスケが小さく舌打ちした。バラバラになった原因が自分であると、少しは自覚があるのだろう。

「罰として・・・」

「・・・罰として?」

ナルトがごくりと唾を飲む。何がくるのか、とサスケとサクラも身構えた。

は今日中このままね」

「・・・えっ!?」

思わぬところに矛先がきて、はカカシの横顔を凝視した。

「連帯責任デショ」

「え、わたしそのなかにふくまれちゃうの!?」

「だってこれ、“奪い返し”だし」

奪い返す、ということは、ナルト達の仲間、ということだ。屁理屈にもきこえるが、は「えええええ」と不満の声を上げただけで、反論まではしなかった。

「それじゃ、今日の演習はこれでオシマイ。明日は8時集合だから遅れるなよ〜」

カカシ先生がね!というナルトとサクラの声を背中でききながらカカシは歩き始める。

「カカシ先生!姉ちゃんに変なことすんなってばよ!」

「しないよ!・・・ったく」

最後にナルトの失礼な言葉をきき、カカシは小さなを抱えたまま、瞬身の術でその場を後にした。



















大通りを歩くカカシはなんとも上機嫌で、小さく鼻歌なんてものがきこえてくるレベルだ。そんなカカシにはげんなりしていたが、致し方が無い。はぁとため息をつくと、「ため息つくと幸せ逃げちゃうよ?」と言われ、誰のせいだとその出ている右目を睨みつけた。だがふと馴染みの気配を感じ、カカシの進行方向を向く。相手とバチッと目が合い、彼の口にあった煙草がぽろっと落ちかけた。そこはなんとか上忍の意地で耐え、煙草をくわえ直してアスマはカカシの腕の中のをまじまじと見た。

「カカシお前・・・いつの間にとの子を・・・」

「ちょっ、なにいっ、」

「いやぁやっぱそう見える〜?」

「は?」

「〜〜〜!!」

とんでもないことを言いだすアスマにが反論しようとすると、カカシがその口を手で塞いでさえぎる。カカシのおかしな言い方に、アスマは怪訝そうな目をに向けた。

「どうも怪しいな・・・」

「なーんにもないけど?」

「うーん・・・」

じーっとを見るアスマ。どうも引っ掛かりを感じているらしい。あははー、とカカシが抜けた笑を漏らす、その隙を突いた。

「うっ」

ちょうど手元にあったカカシの胸を、は思いきり殴った。うめき声を上げて胸をおさえた時に腕がゆるみ、その隙に腕を振りほどいて素早くアスマの陰に隠れた。

「・・・おまえ・・・まさか本人か?」

アスマの半信半疑な問いに、渋い顔をして頷く。なんとも五歳児には似合わない表情である。肯定したのを確認すると、アスマはジト目でカカシを見た。

「お前・・・なんつープレイを」

「だんじてちがう!!」

「った!蹴るなよ!冗談だろうが!」

聞き捨てならない言葉にすかさずが目の前の脚に蹴りを食わらせる。膝カックンしなかっただけありがたいと思え。









アスマに、第七班の演習に付き合って失敗の連帯責任でこうしているのだと説明する。納得はしたが、アスマは呆れた顔をに向けた。

「お前、それで律儀に付き合ってんのか」

「だってさぁ・・・」

「体よくカカシに遊ばれるだけだろうが。解いちまえ解いちまえ」

「えー・・・」

残念がるカカシに、ちらと目を向ける。確かにこのままでは先程みたいにあれこれおかしなことを言いかねない。をよく知るアスマだったから疑われたが、これがあまり知らない中忍や下忍とかだったら大変なことになる。噂は回るのがはやいのだから。よし変化を解こう、とは印を組む。・・・が、何も起こらない。

「・・・あれ?」

「おい、どうした?」

「ざーんねーんでーしたー。ちょっとした隙にチャクラ封じかけたから、ホントに明日にならないと元に戻れなーいよ」

「っはぁ!?」

なんだそれ!?ととアスマはカカシを見る。隙なんていつ見せた・・・とが目をぱちくりさせていると、それを読み取ったカカシが、ちょんと自分の唇を一瞬触った。即座に、把握する。

(あの時のかぁぁぁ!!)

「心当たりあんのか・・・つか、そのジェスチャーはまさか・・・」

「くちぬのあったからね!?」

頭を抱えたは、把握してしまったアスマをバッと見上げて補足する。それはもう肯定してしまっているということに、本人は気づいていない。

「お前なぁ、あんなで遊んでやるなよ・・・」

「もっといってやってアスマ!!」

「そんなん言ったってねぇ。俺はが大好きなだけだしー?」

「っ」

っね?と笑いかけてくるカカシに息が詰まる。アスマはもう見慣れた光景に―今日は少し違って大人が幼児を口説いている光景だが―ため息をついた。進展しねぇなぁこいつらは、とでも思っているのだろう。

「にしても、懐かしいな、この感じは」

「え?」

ふとアスマは自分の足元のを見下ろした。大きな目がきょとんとアスマを見上げている。

「昔もこうやって俺の後ろに隠れてたよなぁ」

「・・・このとしではしてないわよ」

「いいや、初対面の相手だと大抵隠れてたぜ?」

くっくっくとアスマが楽しそうに笑う。思いだし笑いは変態なんだよーとカカシがはぶてた様子で言った。

「なーんかずるいよなぁ。アスマはの小さい時を知っててさ」

「そりゃお前、“妹”だからな」

な、とナギに同意を求めると、彼女はうんと嬉しそうに頷いた。兄に向ける笑顔はカカシには向けられたことの無いもので、ますます苛立ちが募る。

「・・・・・」

「・・・アスマ、カカシのかおがこわい」

「・・・俺も思ってたところだ」

これは危険な香りがすると感じ、カカシの手が伸びてくる前に先手をとってアスマはナギを抱え上げた。

「これは新鮮だなぁ」

「おんぶはあってもだっこはなかったものね」

歳が近く体格差もそうなかったから、抱っこをすることはできなかった。だが今はアスマは大人では子ども。まるで親子のように笑いあっていた。それでますますカカシの機嫌が悪くなるのだが、兄妹達は自分達の世界で気にならないらしい。二人をじとーっと見た後、カカシはゆらりゆらりと去って行った。





















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