GAME START
放課後の下駄箱。今日は部活は休みだから、帰りに会えるだろう。そう思って待ち伏せしていると、彼女がやってきた。
さきほど教室で見たのと変わりない無表情。彼女が3年6組の下駄箱まで来るのを、そのまま待った。
「やぁ、さん」
「・・・なに」
素っ気ない返しも、他の人にするのと同じだ。僕は構わず続けた。
「少し話がしたいんだけどいいかな?」
「別にいいけど、ここでいいでしょ?」
「もちろん」
きかれてまずい話じゃないから。
「ゲームをしない?」
「・・・ゲーム?」
「そう、ゲーム」
さんが怪訝そうな顔をするのがわかった。それでも。
「君に、僕の事を好きになってもらうゲーム」
「・・・勝手にすれば」
GAME START
バタバタバタと大きな足音がきこえてくる。多分これは英二の足音だ。朝練が終わって、着替えるのが遅いから置いてきちゃったんだよね。
「不二ぃぃぃぃぃ!!!」
思った通り英二で、乱暴に扉を開けて教室に飛び込んできた。
「どうしたの英二。置いていっちゃったことそんなに怒ってる?」
「それは置いといて!!」
大きく乱れた息をなんとか整えて、英二が顔を上げる。なんとも言えない表情だけど・・・。
「不二、ちゃんと確認したいから、ちゃんと答えてにゃ?」
「うん、なに?」
「・・・・・」
とは言ったものの、英二はなかなか口を開こうとしない。「はやくしないとチャイム鳴るよ?」と言うと、ようやく声を出した。
「・・・さんに、告白したって、ほんと・・・?」
英二の言葉に、周りにいたクラスメイトたちが驚きの声を上げる。
まじまじと僕をみるひと、心配そうにみるひと、信じられないと言っている様にみるひと。
それにしても、告白、に見えたのか。少し違うんだけど。まぁ、あながち間違ってはいないかな。
「そんな感じだね」
「なっ・・・何考えてんのさ!?不二だって知ってるだろ!?あの子の噂!!」
英二が言っているのは、男関係での良くない噂だろう。
「もちろん」
「だったらにゃんで・・・!!」
「なんかさ、気になっちゃったんだよね」
「は・・・!?」
困惑している英二に笑ってみせる。
「大丈夫だよ、英二」
「なにがだよーもー!!」
心配してくれてありがとう、英二。でも、彼女は大丈夫だよ。
朝礼開始のチャイムが鳴って、まだ何か言いたそうだった英二も席に戻る。
話の当人であるさんは、きこえているのかきこえていないのか、またクラスメイトの異様な視線も気に留めず、窓の外を眺めていた。
―――――
短い。そして苗字しか出てない^q^
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