“彼女”





















最初に彼女の事が気になったのは、3年になってすぐのことだった。
クラス替えしたとはいえ、3年にもなると一人や二人友人がいる、はず。
だが、彼女の側には誰一人としておらず、彼女は一人、ぼーっと窓の外を眺めていた。その時なぜか、そこにだけ空気が違う気がした。














次に気になったのは、クラスで耳にした噂だった。告白したら断られない。だがすぐに別れる。男のとっかえひっかえをしている。・・・とか。
その日も告白されてOKしたらしい。何日続くか賭けようと言っている奴もいた。
彼女は可愛いというより美人というタイプで、モテるのもわかる。けど、そんな男遊びをするような子には、到底見えなかった。














3度目。今度は、男子と連れそって歩いているのを目撃した時の事だった。
男子は彼女に必死に話しかけていて、でも彼女はぽつぽつ相槌を打っているだけ。暗い、というよりは冷たい印象を受ける。そこでふと気づいた。
僕は、彼女の笑った顔を見た事が、無い。同じクラスで、ほぼ毎日同じ教室で過ごしているのに、笑ったのを一度も見た事がなかった。


















そして、決定打となったのはこの時だった。
彼女が自分の下駄箱の中から、 出したのは、一通の白い封筒。封をその場で開けて中身を取り出したとき、彼女の顔が歪んだ。
人差し指から、赤い鮮血が滴る。カッターの刃が、貼りつけられていた様だ。
彼女はその人差し指をペロ、となめた。その時の、何も映していない、空虚な瞳を、僕は忘れないだろう。


















その姿を見た時、僕の心は決まった。


















―――――
やっとこさ始動。
名前変換が無い^q^

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