裁縫娘's





















氷帝学園の幼中高交流会。今回のテーマは部活見学だ。は高等部にあるという手芸部に行ってみる事にした。
パンフレットを見ながら辿り着いたのは被服室。おそるおそるノックをして、ドアを開ける。


「失礼しまーす・・・」


中はシンとしていた。が、中央に座って作業をする女生徒と、目が合う。


「あ・・・えっと、こんにちは。見学希望、なん「ようこそ手芸部へ!!」


いつのまに移動したのかというスピードで寄ってぎゅっとの手を握った女生徒は、とても爽やかで人懐こそうな笑顔だった。


「あれ?」


が、ふと、きょとんとなる。視線の少し下で首を傾げる彼女につられ、も首を傾げる。


「もしかして、ちゃん?」

「え?」



なぜ名前を知っているのだろう。初対面、のはずだが。


「不二ちゃんでしょ?」

「そう、ですけど、どうして・・・?」

「サエちゃんに写真見せてもらってねー」

「サエちゃん?」


こてん、と首を傾げると、彼女はに写真を差し出した。


「これは見た瞬間気に入って、もらっちゃったやつなんだけど」

「サエちゃんって・・・もしかして、虎兄こーにい ?」


そこにはたしかに、兄の周助、双子の裕太と、そして、幼馴染である佐伯虎次郎が映っていた。


「そうそう、虎兄こーにいって呼ばれてるって言ってた」

「もし、かして・・・虎兄こーにいの彼女さん、とか・・・?」


控えめにきくと、彼女はにこりと笑ってうなづいた。


「そ!あ、あたし、阪城清那!高等部2年で、手芸部の部長だよ。よろしくね!」

「ちゅ、中等部2年の不二です。よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げながら、の中でぐるぐるいろいろな思いが駆け巡っていた。
虎兄こーにいに、年上で、こんな素敵で、ぴったりな彼女がいたなんて。しかもその人が手芸部の部長さんだなんて。


ちゃん、手芸好きなの?」

「はっ、はい。今はまだ小物しか作った事ないですけど、鞄とか、洋服とかも作ってみたいなぁって思ってます」

「そっかそっか!」


清那は嬉しそうに笑うと、ミシンが置いてある作業机に戻った。手招きされてもそちらへ向かう。


「じゃあ、ミシンはあんまり触った事ない?」

「そうですね・・・お母さんが昔使ってたのはあるんですけど、今は誰もやらなくて」

「よし、じゃあ触ってみよっか!」

「えっ」

「はい、座った座った!」


されるがままにはミシンの前に座らされる。自宅にあるものより新しくいいミシンを目の前にして、の胸が少し高まった。


「簡単な使い方は大丈夫?」

「大丈夫、だと、思います」

「それじゃ、これ縫ってみようか。あたしの途中だけど」


え、そんな大事なもの、と目で訴えても、清那は構わずセッティングを進める。


「ここ直線縫いすれば大丈夫だから」

「は、はい」


緊張で胸をドキドキさせながら、ミシンの電源を入れてスタートさせる。手縫いとはまた違った快感で、の胸があつくなった。
自然と笑みを浮かべたを見て満足そうにうんうんとうなづき、清那はを見守った。



















「あ、もうこんな時間かぁ」


時計を見れば、交流会終了の時間が迫っていた。


「全部ここにいちゃったけど・・・他の所は良かった?」

「はい、楽しかったので!」


の返事に、清那は嬉しそうに微笑む。


「そっかぁ、よかった。ここはあたし一人だから、興味ある子がいてくれてよかったよ。
 高等部に上がったらぜひ手芸部に入ってね。あたしとは入れ違いになっちゃうけど」

「はい、ぜひ」

「そうだ、連絡先交換しよ?学校以外でも遊んだりしたいし!」

「はい!」


は携帯電話を持っていないので、家の番号をメモして清那に渡した。


「それじゃ、またね、ちゃん!」

「はい!」









今日の交流会はとても楽しかった。家に帰ったらみんなに今日の事を話そうと決めて、は中等部へ戻った。



















―――――
お借りしちゃいました清那さん^q^
ニセモノだったらごめんねアキ^q^


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