その美しさに、目を惹かれた




















歩く度に、兄と同じウェーブがかった金の髪が揺れる。その藍色の瞳が動く街並みを眺めていた。何か興味深いものでもあるのかい、と兄に問われれば、いつも通りですよ、と答える。そう、いつも通り、人間たちがたくさんいて、各々に暮らしている街並み。いつもとなんら変わりない光景。そう、思っていた。

「・・・?」

一点、目を引く場所があった。洋装和装入り混じる街並みだが、和装でもどこか変わった装い。立ち姿は穏やかだが、背が高いからか目立っている気がする。人間にしては色素の薄い髪を揺らし、微笑みを浮かべて歩いていた。

「・・・」

目を、奪われていた。 見目の良いヒトは仲間内で見慣れている。だがそれでも、自分達とは違う種の、どこか幻想的な、神秘的な美しさを纏った青年。

、やっぱり何かあったのかい?」

「っ、なんでもないわ、兄様」

またも兄に声を掛けられ、今度は頭を振る。無意識に足を止めてしまっていたは、兄と仲間達に小走りで追いついた。ちら、とさきほどの場所に目を戻せば、そこに彼の姿はすでに無くなっていた。




















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