赤き星 空に現れ

星 見守りし者

新たな赤き星と出逢う




星 見守りし者

星と共に在り 星と共に戦う



星巡りの者なり



















―――――星巡りの者、赤き星と出逢う―――――














数多の星が夜空に輝く。自由に輝く星たちが、何かを訴えている。


「星が、巡る・・・」


呟くと、肯定するかのように星が瞬いた。北の方角、黄金に輝く星のそばにひとつだけ、燃えるように赤く輝く星があるのが見える。その方角にあるのは、『黄金皇帝』が治める、赤月帝国。夜ではあるが、足を進める。もっとも、歩くのに昼も夜も関係ない。空はいつでもそこにあるのだから。包帯に包まれた右手が輝き出し、やがて光が全身を包み込む。光が弾けて消えた時、そこには誰の姿も無かった。














赤き星の真下に位置する赤月帝国帝都グレッグミンスターの、少し離れた所に足を着ける。ここから歩いて行けば、明け方頃に着けるだろう。足は、首都グレッグミンスターの方へ。



















さすがは首都、と言うべきか。入口には門兵が立っていた。


「旅の途中なんですけど、入れてもらえますか?」


眠たそうな門兵に声を掛ける。彼は欠伸を堪えながら言った。


「念の為に名前と出身地をきかせてもらうがな」

「名前は。出身地は、今はもう、無い所」

「・・・戦争孤児か」

「まぁ、そんなところです」


の見た目からすると“孤児”なのだろう。門兵は少し考える素振りを見せた後、道をあけた。


「・・・いいだろう。問題事は起こしてくれるなよ」

「はい」


門兵の許可を得たは、グレッグミンスターに足を踏み入れた。


















は城下町をふらふら歩いていた。“赤き星”を見つけてここまで来たのはいいが、探そうにも手掛かりはない。偶然と必然の巡り合せに頼るしかないのだ。だがは、ふと視界の端に“あるもの”を捕えて立ち止まった。あの燃えるような色、懐かしいとも思える光。“赤き輝き”が見えた。は跳ねるような鼓動を押さえつつ、視界から消えた“彼”を追った。














が見つけた時、彼は誰かを待っているようだった。呼吸を整え、彼に近づく。


「こんにちは」

「え?あ・・・こんにちは・・・?」


声をかけると、彼は戸惑いながらも返してきた。黒紫の瞳がをとらえる。


「誰か待ってるの?」

「あぁ、親友トモダチをね。君は、旅人?」

「うん。っていうの。よろしく」


は笑って手を差し出すと、彼も軽く笑って握手を返した。


「俺はティル・マクドール。よろしく、



















この笑顔が、そう遠くない未来、悲しみや苦しみに染まる。星による宿命を恨みたくなる、が、抗う事は出来ない。乗り越えてもらうしかない。共に乗り越えていくしかない。



















星が巡り始めた。

赤き輝きを持つ者、辛き哀しき運命を乗り越え、戦いを勝利へと導く。

星巡りの者、一〇八の星を見守る者。





















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