黒の教団壊滅事件




















神田は次の任務へ行き、アレン、、トマは本部へ帰還した。嵐で汽車が遅れてしまったため、到着したのは真夜中だった。汽車の中でいくらか寝たとはいえさすがに眠い時間帯で、アレンは目をこすりながら言った。

「この回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」

「コムイさんに報告後、ヘブラスカに保護してもらうようになるから・・・とりあえず科学班の研究室かな」

「司令室じゃなくて?」

「コムイさんは自称“科学班室長”でね。この時間も起きてるとしたら研究室の方が可能性が高い。し、科学班なら誰か起きてるだろうから」

へー、とアレンが実感なさそうにこぼす。

「科学班の方々は誰かしら徹夜してらっしゃいますからね」

「え、そうなんですか!?」

トマの言葉にアレンが目を丸くする。は、はははと乾いた笑みをこぼして明後日の方向を向いた。とりあえず中にはいるかと足を踏み出したとき、ドサッと階段から何かが落ちてきた。それは、人だった。よく知った顔に三人は目を瞬かせる。

「リナリー!?」

「・・・すごく、嫌な予感」

慌ててリナリーを抱きかかえるアレンの横でが顔をしかめる。

「も、戻ったか・・・アレン、・・・」

続いてゆらりと階段から現れたのは、傷だらけのリーバーだった。

「リーバー班長、一体何が・・・」

「に、逃げろ・・・コムリンが来る」

「え゛」

「は?」

何かがこちらに向かってくる地響き。そしてソレは、壁を突き抜けてやってきた。

「来たぁ」

「嫌な予感的中しちゃったぁ・・・!」

「えっ、何?何あれ!?」

水路に突っ込んだコムリンは、ピピピと何かを察知した。

<発・・・見!リナリー・リー、アレン・ウォーカー、。エクソシスト三名、発見>

「逃げろ二人共!こいつはエクソシストを狙ってる!!」

<手術ダー!!>

「えええええ!?」

アレンは動揺しながらもリナリーを背負い、走った。らも全力で階段を駆け上がるが、コムリンは猛スピードで追ってくる。

「リーバーさん!ワケがわかりません!!」

「ウム、あれはだな!コムイ室長が造った万能ロボ“コムリン”つって・・・見ての通り暴走してる!」

「こりないなぁあの人!?」

コムリンは徹夜続きの科学班員たちの為にコムイが造ったものらしい。しかし誤ってコムイのコーヒーを飲んでしまい、暴走。イノセンスの武器修理もシステムに組み込まれていたせいか、エクソシスト強化マシーンとなり、リナリーに麻酔を食らわせたのだという。

「・・・と、いうワケだ。悪いな・・・こんな理由で」

((アホくさぁ・・・っ))

「コムイさんはこんなことして余計な仕事増やしてるって学習したらいいと思う」

「それができりゃこうはならないんだよな・・・」

「ごもっとも・・・」

アレンとトマは心の中で呆れのツッコミを入れ、的確なツッコミを入れたはリーバーに遠い目をされ、自分も同意してしまう。

「はぁ〜。ラクになりたいなんて思ったバチかなぁ・・・」

「え?」

「お前達エクソシストや探索部隊は命懸けで戦場にいるってのにさ。悪いな。おかえり」

「はぁー・・・いや、科学班のみんなの苦労は戦場並みだと思うけどね。ただいま」

「・・・・・」

帰宅の挨拶を交わしたのだが、なぜかアレンは呆けている。

「アレン?」

「え・・・あっ、はい!」

「何だよ、もしかして任務の傷がいたむのか?」

「いえっ、平気です。た、ただいまっ」

「?」

ぎこちない笑み。迎えられることに慣れていないのか、何か思い出すことがあったのかは定かではない。

「傷っていやぁ・・・、背中大丈夫か?イノセンス傷ついたってきいたが」

「え?背中?めっちゃ痛い

「・・・だよな」

笑顔で答えるにリーバーが乾いた笑みを漏らす。全速力で走った衝撃で、おさまっていた痛みがまた出てきた。これはコムリンに襲われてもイノセンスでは反撃できそうにない。

「おおーい、無事かー!!」

そこへ、科学班員たちとコムイの乗ったエレベーターが現れた。さらに暴走コムリンが追いついてきて、状況が激化する。

科学班インテリをなめんなよぉ!!」

れー!!」

「ボクのコムリンを撃つなぁ!!!」

エレベーターについている大砲をジョニーがコムリンに向ける。だがそあれはコムイによって邪魔され、大砲は乱射、そして弾切れとなった。科学班によって捕らえられたコムイがコムリンの前に突き出される。

「コムリン・・・」

コムイはぐずぐずと子どものように泣いている。

「アレンくんの対アクマ武器が損傷してるんだって。治してあげなさい」

「え゛?」

・・・>

“損傷”という言葉に反応し、ターゲットがアレンに切り替わった。瞬く間に足を捕まれ、アレンがコムリンの方へと引っ張られていく。

<手術室へ連行ー!!>

「ぎゃあああ何あの入り口!?」

「さぁリーバー班長!ちゃん!コムリンがエサに食いついている隙にリナリーをこちらへ!!」

「あんたどこまで鬼畜なんだ!」

「妹が無事ならそれでいいわけ!?」

その間にもアレンはずるずる引き込まれていく。手術室の中には、コムイの形をしたロボットが複数体。

「うっ・・・」

悪寒を感じたアレンが反射的にイノセンスを発動させようとするが、それもまたコムイによって阻まれる。どこに隠し持っていたのか吹き矢の麻酔針を使ったらしい。即座におさえて没収する。アレンは痺れさせられて抵抗することができないままコムリンの中へ。

<アレン・ウォーカー、収容完了しました>

「アレンンンンー!!!」

リーバーが扉の隙間からはみ出たアレンのコートを引っ張るが引きずり出せるわけもなく。扉を必死にたたいていたトマをポテッと落とし、リーバーをぶらさげたままコムリンは次のターゲットへ向かう。狙うはとリナリーだ。

「イノセンス発動させたらしばらく動けないだろうなぁ・・・!!」

リナリーをもたれ座らせ、は彼女をかばうように一歩出る。数日寝たきり生活を覚悟してイノセンスを発動させようとしたとき。リナリーの目が、開いた。





















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