九原





















晴れ渡る空、澄んだ風の吹く大地の上に、人一人分の光が溢れた。その光は徐々に薄くなり、そこに一人の少女が姿を現す。少女は、少しの瓦礫と青々とした草しかないその地をじっと見つめた。そこはかつて、少女が生まれ、生きた場所。現在いま ではその面影は微塵もない。
遥か昔、この地は戦地となった。戦い傷つき血にまみれた悲しき地。数百年の時をえて、ようやく多くの魂が眠れるまで浄化された。現在いま ではもう、この地を知る者はほとんどいないだろう。彼女がまだこの地と生きていた頃を知る者以外は。


「・・・ごめんね、救ってあげられなくて」


少女はそっと、瓦礫の一つに触れる。ひんやりと冷たいその瓦礫が、“彼ら”の墓標。


「あたし、戦い続けるから。“天空”を継承した者として。・・・この地あなたたち を救えなかった者として。星巡りの者として。・・・許してもらえるとは思ってない。だから、見てて。あたしの生き様を。死に物狂いで生き続けるから。それが・・・あたしの罪滅ぼし」


言いきると少女は身を翻して歩き出した。風が少女を包む。優しく、あたたかい風。


―――許すもなにも、初めから許さないなんて言っていないし、怨んでもいないよ、


そう言っているような風だったが、少女は気づかずに歩き続けて行った。



















――――――

九原・・・墓地。あの世、黄泉。



幻想水滸伝【星巡りの者】



T以前。が使命感に捕われるわけ・・・みたいな。

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