笑顔
何を思ってやったのかわからない。ただ、身体が勝手に動いていたんだ。
「どうしたの?くん」
ただ勝手に右手が笑っている将の頭の上に動いていたんだ。案の定、将が不思議そうに見てくる。
「あー・・・いや・・・」
手を退けようとするが、重りでも乗せられたかのように動かない。
「ポチがちぃそうてちょうどえぇとこに頭があったっちゅーことやろ」
「シゲさんひどいですよー!」
気にしてるのに、と少し拗ねて俯く将。俺はそんな将をじっと見ていた。どんな目で見ていたかは、俺自身にもわからない。
「・・・でも」
不意に将が口を開く。
「昔、こんな風に誰かによく頭を撫でられてた気がする・・・」
一瞬、目の前が真っ白になった、気がした。
「そんなん、昔っからちっこいからみんなにやられとったんやろ」
「そうじゃなくて・・・うーん、でも、そうなのかも。ぼく、ほんとに小さかったから」
「今もやろ」
「もー!シゲさん!」
いけない。この笑顔に引きずられてはいけない。俺は決めたんだ、あの時。将の笑顔を、改めて、初めから見つめると。
「シゲさんひどいんだよ!くんからもなんとか言ってよー!」
「シゲに一票」
「えーっ!くんまで!」
知ってるか?俺は
昔から 、お前のその笑顔に救われているんだ。おまえのその、澄み切った空の様な笑顔に。
ありがとう。
ごめんな。
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笑顔・・・笑った顔。破顔。
ホイッスル!【風と共に】
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