体温

















「恭弥ってさ、他人に触れる事ってあるわけ?」


唐突に、だがふと気になった事を、は雲雀恭弥本人に聞いてみた。


「・・・何?いきなり」


当然の反応である。雲雀は眉間にしわを寄せてを見た。


「いや、恭弥って“群れるのが嫌い”って言うから、他人に近寄られるのも嫌なんだよなって思って」

「嫌だよ。何わかりきった事をきいているんだい?」

「だったらさ」


はスッと雲雀に近づいて、彼の右手をとった。


「こうしてひとのあたたかさを感じる事も無いんだよね。それって寂しくない?」

「・・・言ってる意味がわからないよ」


雲雀は眉間に皺を寄せたまま、少し顔をそむけた。そこでふとは、彼の右手がそのまま自分の手の中におさまっていることを不思議に思った。


「あれ?嫌なんじゃないの?」


きくと雲雀は、ふっと少し、ほんの少し、それこそ誰が気づくともわからないほど少しだけ表情を和らげ、を真っ直ぐ見た。


「君とは群れているわけじゃないからね」

「え?」


スッと雲雀の手が自分の手の中から抜けていく。そのまま雲雀は背を向けて行ってしまった。














他人ひと と輪を組むことを“群れる”と嫌い、孤高を好む彼。
他人ひと に触れられることを嫌う彼は、人のあたたかいものを知らない。知っているのかもしれないが、彼は自らすすんでそれを掴もうとは決してしない。




では、なぜ彼はこの手を振り払わなかったのだろう。




自分の手を見つめ、は彼に“人のあたたかさ”を教えてあげたいと思うのであった。














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体温・・・動物体の温度。


家庭教師ヒットマンREBORN!【雪のごとく、我が友のため】


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